トトガノート

「鍼灸治療室.トガシ」と「公文式小林教室」と「その他もろもろ」の情報を載せています。

Tag:量子力学

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「犀の角たち」(大蔵出版)
「第三章 数学」の後半を読みました。

この本の説明は分かりやすいというか、私好みです。科学史の本としても非常に優れていると思います。

そんなわけで、ペンローズについても書いてあるので、メモっておきます。いつか勉強したいと思って何年も前に本を買ってあったのですが、いまだに読めてません。それらの本を全て読んだところで、この本を読んだほどの理解ができるかどうか疑問です。

1.真実でありながら、それを数学的論理思考によって証明のできない命題が存在するということが、数学自身によって立証されている。つまり計算不可能性をもった命題が存在する。

2.我々人間の意識というものは、単にコンピューター機能の複雑化したものではなく、コンピューターには処理できない事柄、すなわち計算不可能な事柄を処理する能力がある(と思われる)。

3.抽象的な数学世界における計算不可能性が、具体的な物理世界に顔を出す場所があるとすると、量子論における「波の収縮」だと思われる。

4.計算不可能性も処理する新しい理論が見つかれば、「波の収縮」も説明できるだろう。量子論的確率の世界と現実の確定した世界とがスムーズに連結され、単一でエレガントな物理世界が見えてくるに違いない。

5.意識を生み出す脳という器官が、計算不可能な事柄を処理することのできる場所であるから、我々の知らない未知の科学理論によって機能していると考えざるを得ない。

6.脳の機能を詳細に調べれば、新理論を見つけ出せるかもしれない。ニューロン内部の微小管と呼ばれる部分が怪しい。

著者もペンローズの考えを疑問視しています。私も、ペンローズが評価されるような事実が見つかってから、ペンローズに向き合ってみたいと思います。

そうしないと、私の脳は、計算不可能な事柄を処理するどころか、計算不可能な脳になってしまいそうですから…

さて、次回からいよいよ仏教です!

《つづく》
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「犀の角たち」(大蔵出版)
「第三章 数学」の後半を読みました。

この本の説明は分かりやすいというか、私好みです。科学史の本としても非常に優れていると思います。

そんなわけで、カオスとフラクタルについても書いてあるので、メモっておきます。いつか勉強したいと思って何年も前に本を買ってあったのですが、いまだに読めてません。それらの本を全て読んだところで、この本を読んだほどの理解ができるかどうか疑問です。

《以下引用》…
カオス理論は次のように言う。
「もし仮に世界の事象が因果関係によってすべて決定されているとしても、最初の状態に少しでも不明な情報があれば、そのせいで未来を予想することは絶対にできなくなる。自然界では、最初の状態がほんの少し違っていても、その結果は必ず恐るべき食い違いへと進展するからである。したがって、物事の最初の状態を完全に知ることのできない人間にとって、この自然界の事象の動きを予想することは絶対にできない。量子論とは全く違ったスケールで、人間には認識の限界が存在し、その不可知性は絶対に避けられないものなのだ。」
…《引用終わり》


バタフライ効果も、最初に知った時には驚きました。

《以下引用》…
フラクタル数学は次のように言う。
「我々はこの複雑な世界が、単純な要素の組み合わせによってできているという先入観を持っている。神が世界を創造なさったと考えるなら、それが妥当な考えである。神が素材を組み合わせることで世の中を作ったとすれば、それは、単純な素材で複雑なものを作るという作業であったに違いないからである。しかし実際の自然界はそうではない。現実を観察してみると、複雑なものをいくら分割して細かくしていっても、複雑さは変化しない。マトリョーシカ人形のように、中から同じ複雑さがいくらでも現われてくる。したがって自然界は単純な要素の組み合わせで作られているのではない。ある同じ複雑さがスケールを様々に変えて、大きくなったり小さくなったり、全にして一、一にして全、そういう捉えがたい不可思議さで存在しているのだ」。
…《引用終わり》


仏教の説明のように見えるのは、著者が仏教学者だからでしょうか?

《つづく》
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「犀の角たち」(大蔵出版)
「第三章 数学」の前半を読みました。

《以下引用》…
数学という学問は外部からの情報とは無関係に、人間の思考だけで成り立っている分野だと考えられているから、「直覚の想定する世界が、外部情報によって訂正されていく」という人間化のパターンが当てはまらないように思える…《引用終わり》


まさにそこ、気になります。でも、一緒だよ!著者は言います。

《以下引用》…
物理学の場合、直覚が承認する神の視点を否定するのは、観察や実験によって得られる、外部世界からの情報だというのだが、情報そのものが神の視点を否定するわけではない。その情報を受け取り、解釈し、その結果「従来の世界観では、この情報を合理的に解釈することができない。だから世界観は変更されねばならない」と考える、我々自身の論理思考が、神の視点を否定するのである。
…《引用終わり》


数学史はほとんど今まで知らなかったので、とても新鮮でした。ピタゴラスが神秘宗教教団の教祖というのも興味深い。「霊魂の輪廻転生を認め、宇宙の基本原理は数、特に自然数で成り立っている」という教義を持った教団。ニュートンもオカルト錬金術師でしたが、「ピタゴラスよ、おまえもか」。

物理の勉強をしていたときに思っていたことなのですが、なぜ歴史の流れに沿って教科書を作らないのでしょう?朝永振一郎の著書「量子力学」は歴史の流れに沿って書いてあったので、面白くて夢中になりました。残念ながら、この本と出会ったのは就職した会社の近くの書店ででした。もう少し早かったら…という思いがあります。

著者も同じことを書いていて「私だって今頃は立派な集合論学者になっていたはず」というのは笑えました。

無理数、虚数などは非日常的概念なので、「何でこんなことしないといけないの?」という疑問が学なり難き少年時代の言い訳になりやすいのです。でも、こういった概念も歴史的要請があって、必要だったから考え出されたわけです。その過程に沿って、名を残した数学者がぶつかった壁を一緒に体験しながら勉強を進めていけたら、数学の時間もみんなワクワクドキドキだと思うんですが。

《つづく》
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相対論が時空間に対する我々の常識を覆し、量子力学が存在の独立性や因果関係に対する我々の常識を覆しました。その内容は仏教の「空」に確かに酷似しています。仏教の方では2世紀ごろにインドの哲学者龍樹によって体系化されたとのこと。その著作もいずれ読まなければいけないでしょう。

EPRパラドックスのような思考実験をしてしまうと、どんな存在も全てのものと関係があり「全く単独に存在するような固有の本性を持った現象はあり得ない」ということが当たり前に思えてきます。この現象を利用したものが量子暗号だと思います。実験室レベルではかなりのところまで行っているはずなので、仏教の「縁起」の考え方が実証されつつあると言ってもいいのかもしれません。

進化論→社会進化論→帝国主義という流れを考えると、科学の哲学や社会思想に対する影響力は大きいものです。量子力学が「空」と結びついて、新たな仏教的思想が起こっておかしくないと思うのですが。

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「仏陀が自分の言葉を鵜呑みにする弟子を戒めた。つまり、仏陀の教えさえも道理に基づいて考察し、各自実践し、検証すべきだ!と仏陀自身が説いた。」という逸話は知らなかったので、なるほどと思いました。仏教にふところの広さを感じるのですが、仏陀のそういう精神が反映しているのでしょう。そしてそれはダライ・ラマが指摘しているように科学にも共通しています。

デヴィッド・ボームの「全体性と内蔵秩序」は十数年前に買って一度読みました。難解で、わかったようなわからないような印象でした。ただ、量子力学と仏教の共通点に驚いたことは覚えています。でも、ダライ・ラマと交友関係があったということですから、その影響が大きかったということなのかもしれませんね…。

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 やっと読み終わりました。怪しい物好きの私にとって一番興味があったのは最終章のテレポーテーションとかパラレルワールドについての説明でした。私にとっては、学生時代,技術者時代,そして退職後に怪しい物に取り組んだ時代と、約20年の半生を振り返ることにもなり、とても楽しく読ませていただきました。

 量子コンピュータがどの程度まで開発されているか、私のレベルでは十分に理解できたと思います。アインシュタインも受け入れ難かった量子力学の摩訶不思議な部分が証明され、コンピュータ技術あるいは通信技術として利用されつつあります。技術者を辞めてしまった私としては、量子力学的世界観が東洋思想に近い点にとても興味があり、この本は是非読破したい一書でした。

 かつて、ダーウィンの進化論が世界に衝撃を与え、自然淘汰とか弱肉強食という考え方が社会思想にも影響を与え、帝国主義につながったと聞いています。量子コンピュータの実用化は、やがて同じような経緯を辿って、社会思想に影響を与えるのではないかと思います。その時に私の場合思い当たるのが、色即是空の般若心経なのです。20世紀中頃には東洋思想に傾倒する物理学者も多かったと聞いています。

 量子コンピュータの技術開発が進むことで、世界中の人が般若心経を唱えるようにならないか?「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話ですが、社会思想の面でもいい影響を与えて欲しいものだと切に祈っております。

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 第8章まで読みました。やっとコンピュータ技術に関わる内容になってきました。電子が波の性質を持ち始める量子の世界、それは私にような出来の悪い学生にとってはお手上げであり、マイナスのイメージしか抱きませんでした。(特に不確定性原理などと言われると、人間はこれ以上小さな世界に足を踏み入れることはできないのだ!という諦めしか持ちませんでした。)

 しかし現在の最先端の研究は、そういうデメリット(私のような凡人から見ればデメリット)を逆手にとって、更に性能の高いコンピュータを開発していこう段階にあるわけです。1990年代の話であるということも面白いところです。

 その頃、自分は何をしていたんだろう…と、本から目を離し天井を見つめて、また凡人の無駄な時間が過ぎていきます。

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 第6章まで読みました。元素は人工的には(原則として)作れないということを聞いた時に、「原子核を変えればいいんじゃないの?」と、小学生の頃だったでしょうか、思ったことがあります。そんな突飛なことを安易に考えるから自分はダメなんだ、そうはいかない難しい理由があるんだ、それを自分は知らないだけなんだ、とその時は片付けていました。

 ところが、そんな突飛なことを長岡半太郎も考えていた!というのは大変な驚きでした。ドイツと日本で、実際に人工金の製造に成功していたそうです。10年ほど続けられたこの研究は、金の採取量が一向に増えなかったために立ち消えになったそうです。それこそ30年間の私の疑問が、この本のおかげで解決しました。

 と同時に、世が世であれば(長岡半太郎よりも早くさえ産まれていれば)、という変な悔しさと自信が生まれました。よく考えれば、長岡半太郎よりも後に産まれた人みんなに言えることなのですが…。

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 やっと第5章まで読みました。量子力学が成立していく過程を概観することができました。大学時代に量子力学の講義で、こういった歴史的背景にも触れて欲しかったと再び思いました。今、振り返ってみると「なんでこの学者さんの理論が重要なのだろう?」「なんでこの学者さんはこんな面倒な方法を考えたんだろう?」という疑問を常に抱きながら、なんだかわからないうちに大学時代が終わってしまいました。まあ、卒業できたから、担当教官の寛大さには感謝していますが…。

 この「なんで」は歴史的な要素だと思うのです。純粋に理論的な部分ばかりが講義されるのですが、歴史的背景,歴史的意義がわからないと理論の必然性を十分に理解したとは言えないのではないでしょうか?

 この本が大学時代に座右にあったら…と思います。そうしたら、勉強ができなかったまた別の理由を考え出したでしょうけど。

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 一ヶ月ほど前から、「量子コンピュータへの誘い」という本に取り組んでいます。時間がある日に数ページ読むだけという状態なので読書はなかなか進みません。「量子さんて誰?」と妻に聞かれて、女性の名前ではないことを説明したりしなければいけなかったので、いつも同様ゆっくり読んでいます。今日、第3章を読み終わりましたが、第1章の内容は殆ど憶えていない始末。

 著者は大学で物理学を学び、その後コンピュータの仕事をしてきた方で、私と経歴が似ているので、書かれてあることは全て興味ある内容です。それだけに、一行読むごとにブツブツ言いたくなって、なかなか進まないのです。

 第3章に「コーシー・コヴァレフスカヤの存在定理」というのが出てきますが、大学の教科書の中で一度お目にかかったような気がしました。この定理に関わった女性の研究者(ソーニャ)は、ドストエフスキーに恋をしたり、ロシアから脱出するために数学者(コヴァレフスキー)と結婚した、というエピソードを面白く読みました。大学の教科書の中にこういうことを書いておいてくれたら…あるいは大学の先生が講義の中で紹介してくれたら…もう少し勉強頑張ったんじゃないかなぁ〜というのが、第3章の感想です。

「量子コンピュータへの誘(いざな)い きまぐれな量子でなぜ計算できるのか」
目次
その2
その3
その4
その5
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