「背中のこの辺りが凝っていますね」と言うと、「それはどういうことですか?」と尋ねるお客さんは割りと多いです。「○○の働きをする××という筋肉に負担がかかってコリができたということです」と説明すると、物足りなそう反応。中には、「勉強不足だな」とおっしゃる方も。

 こういう方は東洋医学に興味を持っている方が多く、「この位置は○○のツボの近くですから、肝臓が悪いんじゃないですか?」的な説明を期待されているようです。そのことは私も重々気付いてはいるのですが、敢えて上のような説明で終わらせています。

 私が鍼灸師になる前に、ある医学博士に言われたことがあるのです。「東洋医学の脈診やら触診やらで、胃が悪いとか肝臓が悪いとか指摘できたとして何の意味があるのかね?胃のどの辺りに直径何ミリのポリープがあって、それが良性か悪性か?というところまでわからなかったら、医学的には全く意味が無いだろう?」

 私も理系の人間ですから、これには全く同感です。ただ、いいとか悪いとか言うだけなら、それは診断ではなくて、占断つまり占いでしかないと思います。お客様に面と向かっては言えないので、この場を借りて反論致します。どちらが勉強不足でしょうか?