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《以下引用》…なによりも、次の点を忘れないでいただきたい。
神の火花は人間に、自己の内部にのみ存在する。それを軽蔑するのも消し去るのも、あるいは逆に、神とともに働き、神のために努めたいという熱意を示すことによって神へ接近するのも、すべてわれわれ自身が選び取ることなのだ、ということを。
…《引用終わり》
キリスト教でない人は、「神」を何か素晴らしいものに置き換えるといいのかもしれません。でも、人間にしかその資格がないような言い方は、やっぱり受け入れがたい。
この本は、最初は、人間が何事にも適応できない存在、いわば究極の劣等生のような言い方から始まっていて、そこが私としてはたまらなく好きでした。「だからこそ、頑張り甲斐があるんだぞ」みたいなところが。
でも、途中から、「人間だけが凄いんだぞ!」という話になっていき、とても不快でした。この不快感は、アドルフ・ヒトラーの「わが闘争」を読んでいたときに似ている。上下巻揃えて読み始めたのですが、気持ちが悪くなって、上巻を少し読んだだけでやめてしまいました。
一般に、似た者どうしの争いほど性質が悪いものはないように思います。同じものに固執するから争いになります。固執する己と闘わなければいけないのに、固執する他者と争ってしまう。戦争はそういうことなのでしょう。
連合国の側にも、自民族至上主義があり、人種差別があり、それを他民族に押しつけようという固執があったんだな…と、本の主旨とは関係ないことをつくづく感じてしまいました。
NHKの「JAPANデビュー」も賛否の声は多々あるようですが、列強の帝国主義に染まり、同じ固執をしたことは誤りだったんだなと思います。
《最初から読む》