A新聞が、ツボの位置の国際標準化の作業についての記事を、1月10日付けの一面に報じました。たまたま御邪魔していた家で見つけたのですが、トップ記事でしたのでビックリしてしまいました。「他にもっと重要な記事はなかったの?」というのが率直な感想でした。

 これはWHOによるツボの場所を統一する作業のことを報じたもので、同じ名前なのに日中韓で場所が違うツボを2,3紹介していました。面白かったのは、「今までのツボの位置は効果が無かったのか?」という声があり、そういう疑惑に対する言い訳が4月9日に再びA新聞に掲載されたことでした。

 私の場合、筋肉が硬くなっている場所や痛みを感じている場所と、それに関わりのある神経の走行などからハリやキュウを行う場所を決めています。その場所の近辺に何というツボがあるか、ということは参考にしますが、教科書どおり定規で測るようにしてツボの場所を決めて施術するなどということはありません。4月9日には「日本の治療家は患者の状態に合わせて取穴している」という言い訳がなされているそうですが、「なるほどやはり他の鍼灸師さんもそうなのか」と思いました。

 要するに、ツボの位置は何センチどっちかにずらした方が正しいとか、厳密に議論することに疑問が感じられる程度の問題だと、個人的には思うのです。ただ、同じ名前なのに中国と韓国と日本で場所が違うというのでは話がややこしくなるのでどこかひとつに決めましょう、という程度の話だと。

 この程度の話を、天下のA新聞がトップ記事にした真意は、未だにわかりません。「トップ記事になってましたよ!ハリキュウってスゴイんですね!」と私に教えてくださる人がいたり、思わぬ大事件に慌てて言い訳をする専門家がいたり、改めて新聞の影響力を感じます。結局のところ今回の一件は、A新聞がニュースのツボをはずしたということなのではないかなと、私は思っています。

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