【きょうの健康9月号から】
・原因は「脳血管障害」「糖尿病」「首の骨の変形による神経障害」も考えられる。手以外(足,顔など)にもしびれや麻痺が起きたり、物が二重に見える場合は要注意。

◆手根管症候群
・手根管は手首の骨と靭帯に囲まれた手のひら側の空間。9本の腱(長母指屈筋,深指屈筋4本,浅指屈筋4本)と正中神経が通る。手の使い過ぎなどで腱がむくんで、正中神経が圧迫されることで起こる。
・手をよく使う人,骨折などによる骨の変形で手根管が狭い人,ホルモンのバランスが崩れやすい人(妊娠・出産期や更年期の女性など),長期間「透析療法」を受けている人(腱の周囲にアミロイドが沈着する)に発症しやすい。
大陵穴付近を軽く叩くと、小指以外の指や手のひらにしびれが起こる。
・夜中に手のしびれで目が覚める。中高年になってホルモンのバランスが崩れると、夜寝ている間に腱が腫れてくることがある。
・ボタンが掛けられない。親指の筋肉が痩せてくるため。
・治療の基本は安静。シーネ(手首と腕を固定する装具)で運動を制限する。
・手術は、手のひら側の靭帯を切開する。時間は30分程度で外来でも可。関節鏡(関節用の内視鏡)で行う場合もある。

◆肘部管症候群
・肘部管はオズボーン靭帯と骨に囲まれた空間。少海穴(内側上顆と肘頭の間)と青霊穴(遠位3寸)の間あたり。骨の変形などで尺骨神経が圧迫されることで起こる。
・上記部位を軽く叩くと、薬指と小指、手のひらの小指側にしびれが起こる。
・手の小指側の筋肉が痩せる。小指に力が入らなくなり、曲がってくる。
・薬指と小指だけが痺れる。
・治療の基本は安静。包帯などで肘を直角より少し伸ばした状態に保つ。
・手術は、オズボーン靭帯を切開する。時間は30〜40分程度で外来でも可。骨を削ったり神経を移動したりする場合もある。