宇宙の中のゆらぎが特別な状態を作り出し、そのなかで化学反応が起きて生命が生まれた!という仮説があるようです。現代社会の生活の中でも、私たちはいろいろな変化に包まれていますし、それがストレスになる場合もある反面、その波に揺られているのが自然なあり方なのではないかと私は思います。全く波立たない海に浮かんでいても、つまらないのではないかと。

 でも、大きな波が来たときの苦労からか、人は安定を求めがちです。仏教でしっかりと「無常」を勉強してきた日本人ですが、強く安定を求める傾向があるのは、戦争という大きな波を経験した世代の残り香でしょうか。もっとも今の若い世代には見られないかもしれませんが。

 世の中には「安定」というものは偶然続くことはあるにせよ、基本的には存在しないのだと私は思います。安定していると思えるのが見せかけならば、そんな不安定な安定は捨てて、不安定な日常に敢えて身をおき、耐力をつけたいものだと思いました。

 ゴールデンウィークに泊まったビジネスホテルは、民宿のような雰囲気で、ご主人と少し話をする機会がありました。「うちは後継ぎがいないんだよ。息子は、ずっとこんな商売見てきたから、安定した公務員になりたいと言ってねぇ…」
「うちの両親は公社に勤めていましたから、その息子(私)は安定を嫌って自営業ですよ。全く逆ですね(笑)」

 これも無常ということでしょうか。

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