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「空海の風景」(中公文庫)
「『空海の風景』を旅する」の「エピローグ」を読みました。

当時NHKエンタープライズ21文化番組チーフ・プロデューサーの鎌倉英也さんの文章です。

《以下引用》
…司馬遼太郎が作品のテーマに掲げた「天才」の成立条件とは、一体なんだったのだろうか。
その回答が、ようやくおぼろげながら見えてきたように思った。
「空海」とは、限りなくゼロであり、無限だということである。枠外しということである。本当の意味での平等とは、自分が向き合う人をある枠付けしたフレームから見ている限り果しえない。国家であり、民族であり、宗教であり、性別であり、貧富でもある。…
枠のない平等な世界などこの世にあったためしはないし、理想の産物だとも言える。…
それを行おうとしたのが、実は空海だったのではないか。
枠とは、実は外側にあるのではなく、自分の心の中にある。
自分の表皮を一枚一枚めくって削ぎ落としていった時、私たちはたまらない不安におちいる。そして、ふたたび、皮をまとって自分と他者を区別し、差別する。人にとって、自分の心の枠を外そうとすることは、みずからの崩壊につながるほど恐ろしいことなのだ。
その不安な作業を、終生、行っていったのが空海ではなかったかと思う。
「天才」とはまさに、その不可能にたえず挑んでいった人間だったのではないかと思える。
…《引用終わり》

まあ、私はそんなふうには余り感じなかったのですが、ノートしておきました。私の空海を追う旅はまだまだ続きますので、いずれ読み返してみたいと思います。

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