NHKの世界のドキュメンタリー「終わらない悪夢」を見まして、ショックとか怒りとかも失せて、大きな落胆とともに、何となく腑に落ちた気分になりました。

日本の原子力がダメだというのは3.11以降痛いほどよく分かったのですが、2009年に制作されたフランスのドキュメンタリーを見て、アメリカもフランスもロシアもドイツ(はマシな方)もコイツも、かなりヒドイということが分かりました。

相対論(E=mc2)に基づき核開発競争は始まりましたから、アメリカにもロシアにも放射能に汚染されて50年以上も経っている地域があるのです。しっかり蓄積されているから、放射性物質の放出がほんの一瞬しか無かったHiroshimaやNagasakiとは比較にならないほど酷い状況。

チェリヤビンスクのマヤーク核施設付近では、家族をガンで亡くしながらも、他に行くところもなく、内部被曝と外部被曝に満ちた生活をしている人がいまだにいる。測定値は50年経った今でも明らかに高い数値なので、当局は正確な値を公表しない。そんな、明日のFukushimaみたいな地域が世界にはたくさんあるようなのです。

核燃料はリサイクルが可能と言われますが、それはほんの一部で、約9割は劣化ウランとなり、今でもただ棄てるしか方法は無いようです。以前はドラム缶に詰めて船から海洋投棄されましたが、これは現在禁止されているとのこと。でも、このドラム缶は海底で腐食し、放射性廃棄物は海にほとんど流失しているようです。

海洋投棄は禁止されていても陸上から海に投棄するのはこの限りではないため、フランスのアレバ社の核再処理施設からは、放射性物質が海や空に毎日放出され続けています。番組の取材に対し、アレバ社の広報の人は「(排気や排水に)放射性物質が存在はしているが、これを汚染と呼ぶかどうかは分からない」という明らかにクロの言い訳をしました。

ですから、Fukushimaでも、大量の汚染水を海にあっさり捨てましたが、業界の方々からしてみたら別にどってことなかったわけです。

処理方法の見つからない核廃棄物は世界中のいろんなところに、いろんな方法で貯蔵(もてあま)されており、ここからも今現在漏出していない保証はないのです。アレバ社が生み出す劣化ウランはロシアに引き取ってもらっていて、それはシベリアに運ばれ、そのコンテナが山積みされている様子は衛星写真から確認できます。ここから漏れている可能性はかなり高いようなのですが、この影響が顕在化したとしてもFukushimaのせいになることでしょう。

結局、Fukushimaの今日は、業界の方々からしてみればバッチリ想定内であり、Tsunamiはむしろもっけの幸いだったかもしれません。ヨーロッパの放射能汚染はチェルノブイリ、アジアの放射能汚染はFukushimaのせいにすればいいことになったのですから。

数十年前は有毒な化学物質が工場からどんどんと排出されましたが、放射性物質は今もなお盛んだというわけです。化学物質は最近やっと、慎まれるようになってきました。でも、放射性物質に関してはその気配すら未だ無いようです。

考えてみれば、私たちは、二酸化炭素が問題だと言いながらその増加を止めることすら未だに成功してはいません。今まで同様、自動車にも乗り続けています。その解決策としてクリーンな電気自動車が有望視されていましたが、これは原子力発電が前提です。ですから、風力発電のような本当にクリーンな発電方法に全面的に移行しない限り、電気自動車は劣化ウランを撒き散らして走っているのと同じなのです。これでは、ガソリン車の方がずっとずっとクリーンです。

人類とは、何と愚かな存在なのでしょうか。地球に生存するに値しない生き物なのかもしれません。何も知らずに生れて来た子どもたちが不憫でなりません。