「芋子が駄目になって電気がつかなくなったんだよ!」あるお客さんがおっしゃいました。
「うちの電気は、その…イモコとかいうやつでつけるんだよ。でも、電池がなくなったみたいで利かなくなったんだよ。」
「あー、リモコンですね。見せてもらえますか?」

 リモコンで操作する室内灯は珍しくなくなりましたが、このお婆ちゃんの部屋に付いているのは最高級品らしく、明るさの調整もできるタイプでした。しかも、リモコンに時計もついていて、設定した時間で自動的に明かりがついたり消えたりする機能もあるようです。

 時計の液晶表示はちゃんとしているので、電池は大丈夫なようです。見ると、リモコンの横の方に切り替えスイッチが付いていました。どうやら、同じ電燈が二台付いている時に切り替えるスイッチのようでした。このスイッチを切り替えてみたら、案の定、リモコン操作が利くようになりました。

 リモコンは、最近いろんな家電製品に付いていますが、小さく設計してあるためにお年寄りにはかなり使いにくいようです。エアコンのリモコンには「冷房」「暖房」の表示がありますが、たいてい小さい文字で表示されます。夏、暑いからエアコンをつけたら、どんどん暑くなる!なんてことも結構あるのです。

「世の中いろいろ新しいものが出来たけど、私には全然便利じゃないねぇ。昔の物の方が間違いがないよ。」

 物が増え、情報が増え、選択肢は確かに増えたわけですが、最近は余りにも複雑化し過ぎていて、果たして自由で便利な世の中といえるのかどうか、お年寄りでなくとも疑問を感じる人は多いのではないでしょうか?