トトガノート

「鍼灸治療室.トガシ」と「公文式小林教室」と「その他もろもろ」の情報を載せています。

Tag:ヘルペスウイルス

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サイエンスZERO(7月10日放送分)を見ました。ヘルペスウイルスが遺伝子操作という手法で人に飼い慣らされ、がん細胞だけを噛み殺していく…品種改良を重ね、生まれてからの教育も重ね、育てられる猟犬のようだな、と思いました。

犬を飼い慣らすテクニックは、長い歴史の中で培われてきました。それが、ウイルスでも、これから繰り広げられていく時代に入ったのだな、と。

ヘルペスウイルスが非常に研究し尽くされているということ、そして抗ウイルス薬があるので非常にコントロールしやすいということは、先日書きました。大人の人は、ほとんどが何らかのヘルペスウイルスを持っている、そういう意味でも非常に身近なウイルスです(犬のように!)。それを使って、人の疲れを測る手法も開発されています

今回、ヘルペスウイルスに対して3つの遺伝子操作を行ったということです。

1つめが、細胞の自滅を阻止する遺伝子の働きを止めること。ウイルスに感染した細胞は自殺して感染の拡大を抑えるようにできているのだそうです。しかし、ウイルスの中に、自殺させないようにする遺伝子が組み込まれており、これが働くことでウイルスは増殖するようになっています。この働きを止めることで、感染した細胞は自殺するようになります。ところが、がん細胞は自殺する機能が無いので、がん細胞だけは自殺しません。改変したヘルペスウイルスは、正常細胞の中では細胞自身の自殺によって増殖が妨げられますが、がん細胞の中では増殖しつづける…。ややこしいですが、よく考えましたね。

2つめがDNAの複製に必要なたんぱく質を作る遺伝子の働きを止めること。このたんぱく質は、ウイルスの増殖のためにも必要なので、この遺伝子が働くことでたんぱく質が作られ、ウイルスは増殖することができます。この遺伝子の働きを止めると、正常細胞ではたんぱく質が不足し、ウイルスは増殖できません。ところが、がん細胞にはこのたんぱく質に似たたんぱく質が多く存在するため、ウイルスは増殖します。

3つめは免疫から逃れる遺伝子の働きを止めること。この遺伝子は、ウイルスのたんぱく質が細胞表面に露出しないようにするもので、これが働くことにより、ウイルスは免疫からその存在を覚られずに潜伏することができます。この働きを止めると、ウイルスに感染した細胞の表面にウイルスのたんぱく質が露出しますから、それが標的となって免疫細胞が攻撃します。

最初の2つは、がん細胞にだけ、改変したヘルペスウイルスが増殖するようにしたものです。ヘルペスウイルスによって、がん細胞の増殖は抑えられます。世界で、この治療法の試験が行われていて、もうすぐ実用化されるそうです。

そして、3つめの手法が東大医学部独自のもののようで、免疫ががん細胞を攻撃しますから、ラットによる実験でですが、これによってほぼ壊滅させることができるとのこと。これはまだ、安全性を確認するという、試験としては最初の段階だそうですが、実用化が楽しみです。

抗がん剤の効果を疑問視する内容は以前書きましたが、まだまだ可能性はあるということですね。
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ブログネタ
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NHK「爆笑問題のニッポンの教養#50」(10月7日放送分)を見ました。慈恵医科大学の近藤一博教授でした。今回は、この先生の研究内容が純粋に面白かった!

前に「疲れを感じるのはどこか?」ということで、自分の疲れを察知するメカニズムがまだ分かっていないということを書きました。この時点で、私はまだ、医学的に真の疲れとは何かを知りませんでした。

近藤先生のお話で、細胞内に疲労物質が蓄積するということがわかりました。これが十分に蓄積すると、その細胞は突然死してしまいます。それが例えば心筋の細胞だったりすれば、直接その人の突然死につながるわけです。

この疲労物質蓄積量が何%かというのは個々の細胞で違うでしょうから、全身の疲労がどのくらいかとか、致命的な疲労なのかどうか、何てことは脳は知る由もないわけですね。

それを一番最初に察知するのが、何と体内に潜入しているウイルス(HHV−6:ヒトヘルペスウイルス6)なのだそうです。幼児期に感染してから脳内などに潜伏し、普通はじっとしているのですが、疲労物質の蓄積を察知すると、「この人、疲れ過ぎてる。ヤバイんじゃないか?他の人に引っ越そうぜ。」ということで再活性化し、潜伏している場所から外に出てくる。活性化しているHHV−6がどれだけいるかを唾液などから調べると、その人の真の疲労度がわかる…というのが近藤教授の研究成果です。

ヘルペスですから、水疱瘡とか帯状疱疹の原因ウイルスと親戚だと思います。ひょっとしたらイコールなのかもしれない。疲れると帯状疱疹になることは以前から言われていまして、それは免疫力が低下するからだと思っていたのですが、疲れを察知したウイルスが活性化するという事情もあったのかもしれません。

休みの日にじっくり休むとかえって疲れが出てくる…という現象がありますが、これこそまさに、実際の疲れと脳が感じる疲れのミスマッチが生じている証拠と教授は考えています。休むことで脳が少し正気に戻って、疲れを察知できるようになるからではないか?とおっしゃっていました。

仕事の中に喜びを見つけて、疲れを忘れて没頭することがありますが、この状態が続くと鬱になったり突然死したりするんじゃないか?ということでした。「楽しければ疲れない」から、「仕事が趣味」というのは理想的な状態だと思っていたのですが、そうでもないようです。

ただ、極限まで疲労がたまってフラフラになった時に、ひらめいて難問を解決できたりするのも事実です。このひらめきは、再活性化したウイルスのお陰なのではないか?と教授はおっしゃっていました。「SFみたいな話だけど…」と言っていましたが、私もそれは突拍子もないことだと思います。教授もかなり疲れているようです。

《つづく》
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