やっと読み終わりました。怪しい物好きの私にとって一番興味があったのは最終章のテレポーテーションとかパラレルワールドについての説明でした。私にとっては、学生時代,技術者時代,そして退職後に怪しい物に取り組んだ時代と、約20年の半生を振り返ることにもなり、とても楽しく読ませていただきました。

 量子コンピュータがどの程度まで開発されているか、私のレベルでは十分に理解できたと思います。アインシュタインも受け入れ難かった量子力学の摩訶不思議な部分が証明され、コンピュータ技術あるいは通信技術として利用されつつあります。技術者を辞めてしまった私としては、量子力学的世界観が東洋思想に近い点にとても興味があり、この本は是非読破したい一書でした。

 かつて、ダーウィンの進化論が世界に衝撃を与え、自然淘汰とか弱肉強食という考え方が社会思想にも影響を与え、帝国主義につながったと聞いています。量子コンピュータの実用化は、やがて同じような経緯を辿って、社会思想に影響を与えるのではないかと思います。その時に私の場合思い当たるのが、色即是空の般若心経なのです。20世紀中頃には東洋思想に傾倒する物理学者も多かったと聞いています。

 量子コンピュータの技術開発が進むことで、世界中の人が般若心経を唱えるようにならないか?「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話ですが、社会思想の面でもいい影響を与えて欲しいものだと切に祈っております。

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