サメは浮き袋が無いので、泳いでいないと沈んでしまうというのを先日書きました。泳いでいることによって流体力学的に発生する浮力でしか浮かないのですね。ところが、それよりなにより、エラがないので、止まっていると呼吸ができないらしい。網に引っ掛かると死んでしまう。これはかなり不便ですね。

常に動いていないと沈んでいく…息ができない…それがサメのさだめ。

逆に言うと、サメの祖先からずっと、常に泳いでいるのが当たり前なので、それを前提とした形で進化してきたということなのでしょう。

我々の体にはそんな前提が無くて良かったと思うかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか?最近、運動の効用がいろいろと分かっています。体の隅々までの十分な血行を確保するには運動は不可欠です。心肺機能を維持していくのにも運動は欠かせません。関節や骨の強度を維持するためにも、運動である程度の負荷をかけ続けることが必要です。などなど…大抵の現代病は運動をしていれば防げたのではないか?と言えそうなくらいです。

私たちの祖先は、これだけ直立二足歩行に突出した進化を実現させたのですから、毎日何キロも歩いていたに違いないのです。つい数十年前でも、私たちは歩かないことには何もできませんでした。でも、今は違います。歩こうとしないと、トイレに行く時と車に乗る時くらいしか歩かなくてもよくなっています。

私たちも運動をしないと沈んでいくのです。ただ、それはサメよりもゆっくりなだけなのです。

私たちも網に引っ掛かったサメと同じなのではないでしょうか?