皆様はどのくらいの頻度でクレームしてるものか分かりませんが、私は黙ってることができない方なので多いんじゃないかと思います。

今年の初めころから、うちの近くで住宅の新築工事が始まりました。一月の中頃、基礎工事をしているときに、工事業者がダンプを道路のど真ん中に止めて作業してました。まだ余り降雪もなく、幅寄せすれば他の車は通行できるにも関わらず、です。時間は朝の8時からですから、通勤通学で、1分を争うような車が多く通ると思われる時間帯。通りかかった車がクラクションを鳴らしても無視して作業を続行。たまらず、「車が通れないんですけど」と言いに行った人がいたのですが、そうしたら工事している敷地内にあっさり移動しました。止めるところがなくて路駐してたのではなかったのです。この時から、カチンときてました。

二月二日に大雪が降りました。連日、除雪に追われ疲労困憊の状態でしたが、五日(日曜日)は天気が良かったので死ぬ思いでご近所の皆さんが除雪を行い、道路を広くしたりもしたのでした。

ところが、翌6日の朝、何の前触れもなく、工事現場に人が集まっていて、皆で除雪して確保したスペースにちゃっかり乗ってきた車を無断で縦列駐車していたのでした。そして、一日、通行止め。断続的だったかもしれないけど、空の大型トラックが道路の真ん中に少なくとも午前中は止まっていました。

その日の夜に、これに関する苦情を、この工事を担当している大手住宅メーカーに対して、メールしました。●車を路上駐車するのなら、幅寄せをして欲しい●他人が除雪したところに駐車するなら声がけくらいすべきではないか●通行止めをするなら事前に周囲の住民にチラシなりで連絡してくれてもいいじゃないか…というようなこと。

2時間後くらいに現場の責任者から電話が来ました。「どうもすみませんでした」を連発したので謝っているのだと思い、上記の件をお願いできないかと話してみたのですが、道路の通行止めはほんの少しの間だったから大したこと無かったでしょう?みたいなことを言うのです。で、私が午前中2回通ったけど2回とも迂回させられたとか、近所の人がずっと通れなかったと言ってたとか申し上げましたら、「私は建設工事が間違いなく行われているかを管理する立場の人間だから道路のことはよくわかりません」とおっしゃいました。「現場の責任者というのは道路の方も責任があるんでしょう?道路の方は管理できないのなら道路の方の責任者が別に必要だということではないですか?」と申し上げたら、「そうですね…」と気のない返事。

そして、「私共のような仕事というのは誰にも迷惑をかけずに進めることはできませんので…」とおっしゃったのです。「だから、しょうがないでしょうということなのですか?」と尋ねましたら、「そんなことは言ってません!」とおっしゃる。「では、どういうことなのですか?」というと「私共のような仕事というのは…」とまた同じことを繰り返し同じ所で言葉を止めました。「だから、しょうがないというんでしょう?」と言いましたら、「こんな言葉尻つかまえられても水かけ論ですよ!」とおっしゃる。

この人には何もお願いできそうにないと思ったので、「とにかく私が迷惑したということを現場の責任者のあなたにお伝えできたので、もうこれでいいです。終わりにしましょう。」と言いましたら、「私共は営業の会社ですから、このような件を電話で済ませるようなわけにはいきません。直接お会いしたいので住所を教えてください。」とおっしゃる。会っても、あなたが水かけ論と呼ぶようなやりとりを面と向かってやるだけのことでしょうから御勘弁下さい、と言って電話をきりました。

でも、翌日、さがえ屋の菓子折を持って、我が家にいらっしゃいました。私が家にいる時で良かったです。また、「どうもすみませんでした」を連発して、菓子折を差し出します。私は誇り高きクレーマーであってユスリ・タカリではない(一般的にはユスリ・タカリ目的に苦情を言う人をクレーマーと言うみたいですね)ので、「こんなものはいただけません」と言いました。それよりも、周辺の住民に迷惑をかけない努力をお願いできないものかと私が話し始めますと、その現場責任者様の携帯電話が鳴りました。私が話し中だったにも関わらず、この方は何のためらいもなく電話に出ると、話ながらさっさと我が家から立ち去ってしまいました。私は追いかけて菓子折をその人の手に握らせ「電話が来たから『はい、さよなら』というのは失礼じゃないですか!」と叫んだのですが、電話を続けていらしたので、そのまま帰ってきました。

謝りに来て、この態度というのは考えられません。この人はただ菓子折を置きに来ただけなのですね。口では謝っていたけれど、済まないという気持ちは全くないのだなということが分かりました。

余りに頭にきたので、この様子をメールに書きまして、支店長宛に送りました。「御社の責任者様のビジネスマナーはとても私には真似できない」というようなことを書き添えて。数日後、支店長様より、丁重な、「どこに出しても大丈夫な」というよりは「どんな案件にでも流用できそうな」謝罪文がメールで送られてきました。一応、ここで諦めようと思います。続きがあれば、またご報告します。

「誰にも迷惑をかけずに進めることはできません」というのは何事もそうなのでありまして、「なるべく迷惑をかけないようにする努力をしているかどうか」が大事なのです。傍目から見て、そういう簡単な努力すら怠っているように見えるから苦情を言っているのであります。その努力をしたくてもできない事情が何かあるのなら教えて欲しくて、対話しようとしているのであります。

それなのに、何も言わせまいとしているかのように「どうもすみません」を連発する。すまないと思っていないのなら、言って欲しくないのです。

でも、そうやって封じ込めて、それでも黙らなければ赤子をあやすようにお菓子を預けるという方法。結局、これが他人の迷惑を顧みずに自分たちのやり方を押し通す、もっとも効率的なやり方なのかな…と思いました。

東電さんも、「すみません」と言いながら、値上げは自分たちの権利と主張しています。政界、官界でも広く行われている、慣習なのですね。やっと、分かりました。

今回のことに関して言えば、道路の方の責任者を内覧会とか担当している営業の人にやらせて、前日くらいまでに周辺にチラシを配って「通行止めの御協力」をお願いする。これは同時に「二階建ての家を一日で組み上げる工事をしますよ〜」という告知にもなり、「見物したい方はご自由にどうぞ!」とすれば立派な宣伝になるような気がするのです。

一日で家が建つというのは今では珍しくも何ともない技術ではありますが、見てみたいという気持ちは私の中にはあります。一日しかかからないから、見物できる機会も少ないはずです。出来上がった家の中を見るのも面白いことですが、組み上がっていく過程を見るのも楽しいと思うんですけどね…。

こんなふうにきちんと通行止めを教えてくれる工事業者と言うのは少ないと思うのです。だから、教えてくれたというだけで私なんかは好感度アップするはずです。ただ、内覧会で名前書かせるより、ずっと効果があるような気がするんですけどね…。

こういった前向きな提案を準備している時だけクレームをするように心がけております、誇り高きクレーマーなので。