恥ずかしながら、阿倍仲麻呂さんはノーマークだった。百人一首の解説で読んで、唐に渡って帰って来なかった歌人というイメージだけ。官吏として登用され大活躍していたようである。長安で大活躍していた倭人は結構いたようだ。
それを踏まえれば空海が長安でスターだったという話もうなづける。あの短期間の滞在で大活躍しているから、超圧倒的であることに変わりないが。
李白や白楽天にも親近感が湧いた。特に白楽天は「楽天」と呼ばれていたので尚更(笑)。
ストーリーの組み立て方は流石夢枕獏さん…早目の昼食を摂ってすぐに観たのでちょっとだけ夢枕になってしまったのが残念。
怨霊がのりうつる…みたいな話は現代では荒唐無稽ということになろうが、それは原因不明の異常行動を理解するために昔の人が考えた説明。現代は例えば「ストレス」という言葉に置き換わっただけではないだろうか。ちゃんと理解できていないことに変わりはない。
果分可説…幻術を見せてからカラクリを明かす…それが密教方式。幻術をVRと言い換えれば、密教は実に新しい。
空海は共感覚者だったと思う。彼の目に見える現実は、まさにこの映画のようであったかもしれない。
最近、聞こえないものを聞きたい、見えないものを見たいという欲求に目覚めた。右脳の言語野が発火すると幻聴になるらしいと知ったからである。幻聴・幻覚を病気の症状と捉えて心を乱せば、更に病気の深みへとはまっていくだろう。でも、脳が活性化した状態と捉えれば楽しい世界がもうひとつ増えるというものである。
「ドクターストレンジ」を観た後は、道路が波打ったりするのが見えるような気がした。今回は猫と話ができそうな気がしている。