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一時期、ずっと仏教の本ばかり読んでいた。それでわかったことは、巷で信仰されている仏教は仏教ではないということ。輪廻のように古代インドで信じられていたこと(釈迦が唱えたわけではない)や、中国を通過する時点で染まってしまった道教の影響など、本質からかけ離れた内容は日本仏教の中で大切に伝わっているのだけれど、釈迦が唱えたことは殆ど残っていないと感じた。

仏教理論の中でも特に難解とされる唯識は脳科学とリンクできるような気がしていたが、脳科学者でもない私がそんな大きな仕事をこなせるわけがないと諦めていた。それを、脳機能学者であり僧侶でもある博士が本書で実現してくれた。

簡単にまとめてしまえば、阿頼耶識=右脳、末那識=左脳ということになるだろうか。このイメージで本書を読んでいくと、唯識は現代の脳に関する情報ときれいに整合性を持って整理できると思う。

巻末で紹介されているハワイ日系米兵の話は感動した。日本人として知っておかなければいけない史実だ。