オーディオブックで谷崎潤一郎を聴いてみた。仕事をしながら聴くつもりが、手を止めてしっかり聴くことになった。予想を超えた面白さだった。

聴き終えた後、数年前に施術した刺青のお客様を思い出した。

若い女性だった。結婚してお子さんもいる。刺青は結婚する前にしたそうである。

子どもを産んだりするんだったら、こんなのするんじゃなかった…とその人は言った。

なるほど、刺青をした母親というのは色々と不都合なことがあるんだろうと思った。

でも、背中から尻にかけて描かれたその刺青は美しかった。そして、その刺青のある体は更に美しかった。

ただ、母として後悔しているその人に、それを告げるのは躊躇した。

この記憶は思い出すたびにうっとりとするところがあり、それは谷崎の作品の余韻と似ている。

刺青/秘密 - wisの朗読シリーズ(1)