*** Her husband was Alzheimer's disease. ***

「お父さんと私、二人お願いしたいの。いいでしょう?」

私が「はい」と答えると、

「でも、お父さん、アルツハイマーって言われてるのよ。」

お父さんというのは、スエさんのご主人、信市郎さんのことだった。

アルツハイマーは重度の症状ばかり聞いていたが、信市郎さんの場合は軽度のようだった。トイレにも一人で行くことができ、オムツの必要は無かった。股関節と膝を少し曲げた状態、例えるならスクワットを途中で止めたような形、で歩くのが普通とは違っているくらいだった。

「お父さん、先生が来てくれたよ。腰が痛いんでしょ?診てもらうのよ。」

すると、信市郎さんは突然自己紹介を始めた。

「隣の村から来ました池田信市郎と申す者です。いちろうとなっていますが、長男ではありません。見た目はちょっと怖いかもしれませんが、小心者です。どうかよろしくお願いします。」

スエさんと私が大笑いすると、信市郎さんもニッコリとした。怖い感じのお父さんが、一瞬にして丸坊主の可愛いお父さんに変わった。

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