A woman is mightier than a man.

娘が大変びっくりして質問してきたことがあります。
「ねえ、昔は男が偉かったの!?」

男の方が偉い世の中なんて、想像もつかない様子でした。

男が落ちぶれたと思っていた矢先、ある本の中に気になる文章を見つけました。人間は進化と共に新たな苦しみに悩まされるようになったという文脈で、以下のような記述がありました。

〈以下引用(「ブッダの脳」p173)〉
…わたしたちの哺乳類、霊長類、人間の祖先は、捕食者であると同時に餌食でもあったからだ。加えて、大抵の霊長類の社会集団は雄だけではなく雌の攻撃性にも脅かされていた。数万年前の狩猟採集民の群れでは、男性の死の最たる原因は暴力だった。
〈引用終り〉

最後の一文だけ読めば男同士の闘いだろうと思ってしまうのですが、前の文も加味するとそうは読めませんね。

日本では、大陸の文化の影響を受けるまでは母系社会だったようですし、父系社会に移行したはずの平安時代の物語にも女性から振られた男性がさめざめと泣くシーンがあったと聞いています。江戸時代も、お武家様はいざしらず、庶民の場合には奥さんの方から「みくだりはん」を突きつけられるケースも多かったそうです。

そう考えると、男尊女卑などというのは、長い歴史の中では一時的な極めて異常な状態ということになるのかもしれません。

参考文献として、

Sapolsky, R. M. 2006. A natural history of peace. Foreign Affairs 85: 104-121. とか

Bowles, S. 2006. Group competition, reproductive leveling, and the evolution of human altruism. Science 314: 1564-1572

が、挙げてありますので、暇があったら調べてみようかと思います。

でも、調べるまでも無いような気もします。女の方が強いなんて、意外でも何でも無いことなので。