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ちょうど一年ほど前から、2012年に全国の公立中高一貫校で実施された適性検査問題集を解いてみています。

 「適性検査」とは要するに入学試験のことです。東根にできる中高一貫校は我が教室からも近く、関心を持つ保護者のみなさんも多いと思います。受験対象となる小学6年生にどんな問題が出されるのか、興味があります。

 東根の中高一貫校で出される問題の例として県が提示したのが、2012年に宮城県(宮城県仙台ニ華中学校・宮城県古川黎明中学校)で出された問題の一部で、この問題集にも載っていました。

 いろいろな問題を解いてみて感じたことは、なかなか難しいということでした。中学で習う方程式を使うような問題や、高校で習う数列を使うような問題もあります。中学や高校の数学なら「あてはまる答えを全て書きなさい」となるところを、「あてはまる答えのうち一つを書きなさい」という出題形式にすることで、小学生でも答えられるかな?というレベルに落としています。

 中学教材や高校教材をやっていれば、問題にどう取りかかったらいいかが分かると思いますが、何の準備もなければ手も足も出ないのではないかという気がします。中高生のみなさんも是非挑戦してみて下さい。

 今回は、まず栃木県の問題を見てみましょう。問1は、栃木県の年間の降水量や、各月の雨が降った日数などのグラフを見て、気象について考えさせる問題です(問1は省略しています)。次に、問2として、降水量の単位はミリメートルで長さの単位だけれど、降った雨は体積じゃないの?という疑問をちあきさんが投げかけ、よしえさんはペットボトルで雨量計を作る方法を見つけて来ました。

 降水量というのは、同じ太さの容器を置いておき、それに何ミリ水がたまったか?という単純なものです。容器の底面積は関係ないので、単位は長さ(水位の高さ)の単位になります。ただ外せない条件が、雨が入るてっぺんから底まで同じ太さであることです。ペットボトルは残念ながらそうなってはいないので、同じ太さになっていない底の部分に水を入れることでクリアしています。

 こういった雨量計を作った経験のない子どもは、試験時間の間にこれを全て理解し、説明しなければなりません。




 面白いことに、東京都立小石川中等教育学校も、ペットボトルで雨量計を作る問題を出していますので、見てみましょう。こちらでは栃木県で問題にしたことは「線まで水を入れておく。」としただけで、サラリと流しています。

 そのうえ、てっぺんから底まで同じ太さという条件にも関わらず、てっぺんは1.5Lのペットボトル、底は500mLのペットボトルにしています。このために、(1)のように体積を気にする必要が出てきます。

式:円柱の体積 = 半径 × 半径 × 円周率 × 高さ
=3.25×3.25×3.14×0.3≒9.95〔立方センチメートル〕

 (2)では、この雨量計がより正確に測ることができる理由を聞いてます。1.5Lのボトルで雨を多く集め、細い500mLのボトルでその量を測りますから、目盛の間隔が広くなり読み取りやすいのです。

 (3)では、500mLのボトルで3mmだった雨量が、実際には何mmだったか、つまり1.5Lのボトルでは何mmになるかを求めさせています。

式:(水の体積)÷(1.5Lのボトルの底面積)×(cm→mm単位変換)
=(3.25×3.25×3.14×0.3)÷(4.6×4.6×3.14)×10≒1.5〔mm〕

答えは約1.5mm。目盛の間隔が約2倍に広がっているわけです。この計算は(1)の9.95を使っても小数第1位までなので同じ答えになりますが、3.14を約分して消してしまった方が正確な答えになります。出し方の違いで答えが少し違ってしまう場合がありますから、要注意です。

 7月には、大雨が降り、雨についてあるいは水について考えさせられる事態になりました。このときに保護者の皆さんが大人として考えたこと(地球環境の変化、治水事業のあり方、水の大切さ、などなど)、これをお子さんの耳にもそれとなく入れておいていただきたいと思います。そういったことを考えさせる問題も多く出ています。ひょっとしたら、高校入試に出るかもしれませんね。

 また、夏休みの工作として雨量計を作るのもいいでしょうし、実際に測定してみて自由研究とされるのもよいでしょう。その際には、考えられる工夫がいろいろあることも話して、気づかせてあげて下さい。




参考文献:2013年度受験用公立中高一貫校適性検査問題集(みくに出版)小林教室収蔵

《教室だより増刊号インデックス》

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