「新・人体の矛盾」の「表情筋の下には爬虫類の顔が!」(p50〜52)を読みました。(小林教室収蔵

表情筋というのは、解剖学ではほとんど話題になりません。筋肉を勉強する時には、起始・停止といって、どことどこに付着しているかをそれぞれの筋肉について覚えなければなりません。その場合、起始も停止もたいていは骨です。ところが、表情筋は「その一端が皮膚に付く特殊な筋である(p50)」と言われて、その特徴に初めて気づきました。

つまりは関節を動かすことを目的としない筋肉…じゃあ、何のためにあるんだ?と思ってしまいます。

目鼻口を開閉するために哺乳類にできたもので、口輪筋や頬筋の働きで口をしっかり閉じることができ、このお陰でオッパイを吸うことができる…ということで、哺乳類たらしめる重要な筋肉群であることに今更ながら初めて気づきました。

表情筋を剥ぎ取ると、爬虫類の顔が現れるとのこと。「顔面神経痛という病気は無い」という話を取っ掛かりに、講義でよく語られるのが、顔面神経と三叉神経の二重支配です。爬虫類までは顔を動かす必要が無かったので、顔面神経という運動神経は要らなかったわけなんですね。

もう一つ興味深かったのは、眼輪筋と涙の関係。眼輪筋は、目頭から始まって目の周りを一周し、また目頭に終る筋肉で、眼を閉じるときに働きます。一方、涙は目尻上方の涙腺から分泌されて、眼球を潤した後、目頭の上下にある涙小管から排出されます。涙小管には涙嚢という袋がつながっているのですが、スポイトのように機能するのでしょう。このスポイトを動かすのも眼輪筋だそうです。

だから、涙が流れそうになったとき、瞬きをくり返すと溢れずに済むそうです。涙腺がゆるい中年男にとって、これは貴重な情報です。

《つづく》