治療法が効く理由は、すべて解明されているわけではありません。解明されているようで、実は単なる仮説に過ぎないというのが殆どかもしれません。ただ、その仮説にも説得力の有るものと無いものがある…。低周波治療器に関しては、よく分かりません。

私はデジタル回路の設計やハードシミュレーションの仕事をしていたことがあります。低周波治療器は、極めて単純なデジタル回路にちょっとした安全回路を付けたものと言えばいいでしょう。

低周波治療器の上位機種として干渉波をうたった物もあります。私は、空間における電波の干渉波に関するシミュレーションの仕事もしたことがあります。体内でどのように干渉波が作用するのか、そのシミュレーションなどを見てみたいと思うのですが、見たことがありません。学会の論文とか探せばあるのかもしれませんが。

鍼灸師になって、数百万もする治療院用の低周波治療器を修行時代に使いましたし、数万円程度の低周波治療器は自分で購入して試してみました。でも、そこにハイテクと呼ばれる先端技術と同レベルの高級な理論があるとはとても思えない。

パッドを通して通電した場合と、刺入した鍼を通して通電した場合とでは、電圧のレベルがかなり違います。皮膚というのはとても電気を通しにくいのですが、少しでも切皮していれば格段に流れやすくなります。パッドによる通電は、とても流れにくい箇所に、無理無理電圧をかけて電流を流しているのです。果たして、皮下のどういう経路を電流が流れるのか、予測することができるのかどうか。

プロによる治療であるならば、どの筋肉をターゲットとして通電するのか、そのためには皮膚のどの部分に当てればいいのか、そういう研究がなされなければいけないと思います。それをやっている治療院もあるのかもしれませんが、私は見たことがありません。鍼を使った通電なら標的を絞ることは可能でしょうが、パッドでは難しいんじゃないだろうか?と個人的には思います。どの筋肉に電流が流れるかは運まかせ。だから、効く時と効かない時があるんじゃないかな、と。

ただ、効果を否定するわけではありません。例えば、数百ヘルツとかそれ以上の周波数で通電する場合、これは鎮痛効果を狙っているわけですが、皮膚を素手で引っ叩いた状態を電気的に作っているんだと思います。神経は刺激を受けると鈍くなる性質があります。電気を流すのもいいけど、素手で引っ叩いてもOKなのです。

数ヘルツの周波数の場合は揉みほぐす効果があると言われています。これと回路的に全く同じ物がEMSフィットネスマシンとか言う名前で売られています。かたやリラックス、かたやエクササイズ…。これはどっかに書いた内容、そう「そのまんま筋トレ」なのです。

どうせ治療院に行ってお金を払って、自分の筋肉で自分のコリをほぐさせられるのなら、「そのまんま」で、タダでできるのです(しかも、リラックスにもなり、エクササイズにもなる)。自分の筋肉は、自分の運動神経が出す電気刺激によって動かす…それが健康的というものです。

《つづく》