「新・人体の矛盾」の「8 毛根をさぐる」を読みました。(小林教室収蔵

ヒトの体の表面は死んだ細胞で覆われている…という言い方をするとゾッとしてしまいますが、表皮をはじめ体毛も爪も死んだ細胞なのだそうです。今回の主役は体毛です。

毛と同様に皮膚を覆うものとしては、爬虫類のウロコと鳥類の羽毛があります。発生過程から比較すると、いずれも表皮(上皮)と真皮(間葉)の両者で作られます。しかし、最終的にはウロコと羽毛には真皮性の要素が含まれるけれども、毛には表皮性の要素しか含まれないそうです。

このことから、羽毛はウロコが変形してできたものと考えられるが、毛はウロコとは別物らしい。その状況証拠として挙げられるのが、ネズミのしっぽ。ネズミのしっぽはウロコで覆われており、ウロコの後ろに3本1組で毛が生えているのだそうです。

子どもの頃、ネコが食べ残したネズミのしっぽを観察したことがあるのを覚えています。哺乳類らしからぬ物体だと思ったのですが、やはりウロコだったんですね。でも、その間にまばらに毛が生えてたことまでは覚えていません。

ところで、ヒトが持っていない感覚器官としての毛、すなわちネコなどに見られるヒゲがあります。構造や発生の仕方は毛と同じなのですが、やはり体毛とは区別すべきです。

爬虫類のワニやオオトカゲの上顎の皮膚には、俗に「ニキビ」と呼ばれるウロコがあって、触覚と熱を感じる働きがあると考えられるそうです。ヒゲとの関連を指摘できるような材料はないようですが、非常に類似点があるそうです。

《つづく》