鍼灸師として、いま、自分ができることは何だろうか…自問してみました。フツーに思い浮かぶのは、今尚、避難生活を余儀なくされている方々にボランティアとして施術してあげること。それも良いことです。でも、それだけなのか。

そんなふうに考えていて、我が治療院の最もメーンの設立趣意を思い出しました。それをまとめたホームページの記事も今や無くなってしまいましたので、再度ここにまとめたいと思います。

それは、「健康保険不使用」ということです。「各種保険適用」という宣伝はよく見かけますが、それとは逆です。ですから、これは宣伝ではありません。宣伝というよりは宣言であり、主張です。

現状としては…
健康保険は財政が非常に厳しく、これをカバーすべき国の財政は更にひどい破綻状態である。
現在、鍼灸治療に健康保険を適用させるのは、基準が不明瞭で煩雑である。
という問題点があると思っています。

それならば、最初から健康保険の使用を諦めて、予防(予防のための施術は健康保険の適用外)に重点を置き、自由な価格設定でやってみよう、と思い立ちました。

接骨院は言うに及ばず、鍼灸治療院においても、経営を安定させるには健康保険の積極的な活用が常識のようになっています。しかし、大震災の後、国家存亡の危機を迎えたこの時期に、貴重な浮き輪にしがみつくことだけを考えていていいのか?自分で泳ぐ努力をしなくていいのか?という気持ちが更に強まりました。

カイロや整体など、健康保険を使えない医業類似業者はたくさんあるわけですから、これらを見習って、経営努力する余地は充分あるはずです。

そう考えますと、健康保険の適用は医師のみとし、重篤な病気の治療や先進医療に優先して使った方が制度としてもスッキリします。われわれ医業類似業者は、健康保険を使わないという形で、国民医療費の抑制に貢献し、医師を中心とした健康保険による西洋医学を財政の面でも助ける形になります。西洋医学との相補的な関係を目指す代替医療として、ますます明確な立場を築くことができます。

以上のような考えから当院では、【健康保険から独立した鍼灸治療】を行っています。これによって、健康保険組合の財布は少しは助かるはずです。そして、国民医療費の抑制につながります。当院を選んで下さったお客様も、国民医療費の抑制に一役買ったことになります。

しかしながら、当院の治療費が余りに高ければ、それは単にお客様に価格転嫁したに過ぎないことになります。ですから、健康保険を適用した時の窓口負担額よりは高くなってしまうものの、カイロや整体などの相場よりは安いと思っていただける範囲で、【リーズナブルな価格】を堅持しております。

当院だけがこのような行動を起こしても金額としては微々たるものですが、他の鍼灸師や柔道整復師(接骨院の先生)に賛同いただければ、かなりの金額になります。賛同されない治療師の先生方を責めるつもりはありません。こういったことは、それぞれの考えや事情を尊重して、行動されるべきだと考えます。