〈目的〉:肩峰下スペースにストレスを加えて、棘上筋の過剰使用による損傷,炎症(棘上筋衝突症候群)を検査する。

〈方法〉:
患者:座位。
術者1:患側の肩を90°屈曲(前方挙上)、肘を90°屈曲させ、肩関節をフル内旋させる。
術者2:患側の肩を90°外転(側方挙上)、肘を90°屈曲させ、肩関節をフル内旋させる。

〈評価〉:
・肩の痛みが出れば陽性。棘上筋の過剰使用による損傷,炎症(棘上筋衝突症候群)を疑う。
・肩関節の(外転+外旋)で痛むのが上腕二頭筋腱長頭の腱鞘炎、(外転+内旋)で痛むのが棘上筋腱鞘炎と言われる。

〈メモ〉:
・肩関節外転に伴って、上腕骨の骨頭は外旋し下方に滑り、肩峰下の運動スペースが確保される。骨頭が内旋位のままであったり、下方への滑りが起こらないと、大結節と肩峰が接触し、衝突症候群が発生する。回旋筋腱板/ローテーターカフ筋や三角筋下/肩峰下滑液包は圧迫され、腱鞘炎や滑膜炎を起こし、狭い肩峰下スペースを更に狭める。本テストは、上腕骨を 1.屈曲+内旋位 2.外転+内旋位において、肩峰下スペースの状態を検査する。
・ステージ1:年齢25歳まで。可逆性。【サイン】上腕骨大結節の圧痛,肩峰前面の圧痛,肩甲上腕関節60〜120°外転時の痛み(肩峰下のスペースが最も狭くなる角度),棘上筋衝突テスト陽性,肩峰下の腫れによる肩甲上腕関節可動域の減少。
・ステージ2:年齢25〜40歳まで。不可逆性。【サイン(ステージ1のサインに加えて)】軟部組織の軋音(コツコツ音),肩甲上腕関節内転時(約100°)に引っかかり,自動・他動運動による肩甲上腕関節可動域の減少。
・ステージ3:年齢40歳〜。不可逆性。【サイン(ステージ1と2のサインに加えて)】顕著な肩甲上腕関節可動域の減少(自動>他動),棘下筋の萎縮,肩甲上腕関節の外転と回旋の機能低下,上腕二頭筋長頭の腱への影響,肩鎖関節の圧痛。

参考文献「整形外科学検査法」