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「龍樹」(講談社学術文庫版)
「?ナーガールジュナの著作」の「1中論」の「第9章」まで読みました。各章、好きな一文を抜き出します。

第一章.原因(縁)の考察
1.もろもろの事物はどこにあっても、いかなるものでも、自体からも、他のものからも、〔自他の〕二つからも、また無因から生じたもの(無因生)も、あることなし。

第二章.運動(去ることと来ること)の考察
1.まず、すでに去ったもの(已去)は、去らない。また未だ去らないもの(未去)も去らない。さらに<すでに去ったもの>と<未だ去らないもの>とを離れた<現在去りつつあるもの>(去時)も去らない。

第三章.認識能力の考察
6.<見るはたらき>を離れても、離れなくても、<見る主体>は存在しない。<見る主体>が存在しないから、<見られるもの>も<見るはたらき>も、ともに存在しない。
8.<見られるもの>と<見るはたらき>とが存在しないから、識など4つ(〔識〕のほか、感官と対象との接触〔触〕、感受作用〔受〕、盲目的衝動〔愛〕)は存在しない。故に執著(取)など一体どうして存在するであろうか。
※眼(見ること)のみならず耳・鼻・舌・身・意も同様である。


第四章.集合体(蘊)の考察
4.物質的要素がすでに〔以前から〕存在するのであるならば、<物質的要素の原因>なるものは成立しえない。また物質的要素がすでに〔以前から〕存在しないのであるならば、<物質的要素の原因>なるものは、やはり存在しえない。

第五章.要素(界)の考察
6.有(もの)が存在しないとき、何ものの無が存在するだろうか。有とも異なり、無とも異なる何人があって有無を知るであろうか。

第六章.貪りに汚れることと貪りに汚れた人との考察
10.こういうわけであるから、<貪りに汚れること>が<貪りに汚れている人>と倶に成立することはないし、また両者が倶にならないで〔別々に〕成立することもない。<貪りに汚れること>と同様に、一切のことがらが倶に成立することもないし、また倶にならないで〔別々に〕成立することもない。

第七章.つくられたもの(有為)の考察
34.あたかも幻のごとく、あたかも夢のごとく、あたかも蜃気楼のようなものであると、譬喩をもってそのように生起が説かれ、そのように住が説かれ、そのように消滅が説かれる。

第八章.行為と行為主体との考察
12.行為によって行為主体がある。またその行為主体によって行為がはたらく。その他の成立の原因をわれわれは見ない。

第九章.過去の存在の考察
7.もし一切の見るはたらき等よりも先なるものが存在しないならば、どうして見るはたらき等の一つ一つよりも先なるものが存在しようか。

《つづく》