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第16章「新しい「人間の運命」の始まり1」を読みました。

《以下引用》…まずはじめに、否定しがたい五つの基本的事実が存在することを確認しよう。それは、
1.ごく単純な有機体によって代表される生命のはじまり
2.しだいに複雑な形態へと向かう生命の進化
3.最終的には人間とその脳へいたる進化の長いプロセス
4.思想と道徳的、精神的観念の誕生
5.地球の各地に見られるこれらの観念の自発的、独立的な発展
の五つである。
…《引用終わり》


まあ、ここまではいいでしょうかね…

《以下引用》…しかしながら生物の進化は、全体として眺めたとき、無生物を対象にする科学とはまったく矛盾している。つまり、偶然の法則にもとづく科学のかなめである熱力学の第二法則と一致しないのだ。したがって、進化の「理由」、そして進化という事実さえも現代科学の領域には入らない。このことは、世界のどんな科学者も否定できないのである。…《引用終わり》

この人は、この辺から間違ってるかな…
熱力学の第二法則は、科学の中に多々ある法則の中のひとつでしかなく、かなめとは言えないと思います。

これを根拠に、物質と生物の間に越え難い境界線を引き、獣と人間の間にも境界線を引いたようです。人間の心の中にも境界線を引き、善と悪とを区別しているようです。

そして生物の中でこの先も進化し得るのは人間であり、人間が進化し続けるためには自分の中にいる獣(=悪)と闘わなければならない。

この区別することで成り立つ哲学は危険だと思います。区別は差別と本質的には変わりがないから、自分の中の悪と闘っているうちはいいのですが、他人に悪のレッテルを貼って闘うことにも成りかねない。この人の考えだと、「動物と闘うことは聖戦」ということにもなりかねない。

だから、著者が言うように、これから進化していくことが人間の責務であるとしても、善悪の区別から全てが始まるような哲学を選んではいけないのではないかなと思います。善悪の区別を超えた哲学が無いのなら仕方ないですけど。

《つづく》