脱サラをして、田舎で仕事を始めて、改めて田舎をみつめて感じたことがあります。近所で何があったとか、家族はどんな仕事をしているとか、非常に関心を持っています。若い頃はそれがとても嫌だったし、当時は社会全体としても「それは田舎の悪しき習慣」という見方が一般的で、それから逃れたい気持ちもあって隣の県に就職を決めたのでした。

プライバシーという概念が田舎にも浸透してきて、「悪しき習慣」は無くなってきましたが、今になって思うとそれは治安維持に非常に役立っていたようです。防犯カメラを設置しなくても、隣に誰か見かけない人が入っていったとか見ていてくれる人がいる。挙動不審な人がいたら、噂にしてみんなで警戒する。こういう体制をかつて意図的に作ったのではないかと思われるほど、今では大きいメリットがあります。

江戸の町は、訪れた外国人がびっくりするほど治安が良かったそうです。それを成し得たのは武士道精神でしょうか?武士は少数派だし、決して偉い存在でもなかったようです。私は仏教が最も寄与していたのではないかと思うのです。何しろ、田舎で一番多いのも仏がからんだ行事ですから。

乱世の戦国大名でさえ、仏教に熱心でなかったのはキリシタン大名と信長くらいではないでしょうか。上杉謙信や武田信玄は言わずもがな、家康の旗印は「厭離穢土欣求浄土」でした。最近も大変世の中が乱れていて、まさに穢土状態ですね。浄土とは言わずとも、江戸くらいの水準をなんとか取り戻したいものです。

そんなわけで、私の旗印は「厭離穢土欣求江戸」です。