道を究めるということはどうしても脳で行われる作業なので、心へ傾倒していき、精神論に向かっていくのはやむをえないことなのかもしれません。それは、東洋医学の場合もあてはまると思います。ツボという解剖学的に存在しない器官を治療対象とし、経絡とか気の流れというこれまた科学では把握できないもので理論付けを行っていますから、奔放なまでに精神の世界に入り込むことができます。

だからこそ、気をつけなければいけないと僕は思っています。西洋医学的に明確な病気、つまり解剖学的にきちんと説明できる病気や、ウイルスや細菌など病因がはっきりわかる病気に関して、ツボとか経絡とか気とかを持ち出すべきではないと。

「東洋医学で治らないものはない」と豪語する人にお会いして、あぜんとしたことがあります。東洋医学は科学的解析が難しいので、正当な評価も難しいのです。過小評価もありますが、このような過大評価もあります。

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