「新・人体の矛盾」の「9 胎盤の出現」を読みました。(小林教室収蔵)
単孔類(カモノハシ、ハリモグラなど)と有袋類(カンガルー、コアラなど)は、卵生と胎生の間をうめるような、原始的な哺乳類です。
単孔類は哺乳類でありながら卵を産みますが、乳を与えて子どもを育てます。カモノハシは地下にトンネルを掘って巣を作り、ここに卵を産みます。ハリモグラの方は腹に袋があって、この中で卵をかえします。生殖方法は爬虫類と変わりません。
単孔類は、最初の原始哺乳類である原獣類の生き残りと考えられています。原獣類から有袋類と有胎盤類(ヒトを含む)が進化しました。
有袋類の雌の生殖器官は変わっていて、卵巣や卵管はもちろんのこと、子宮と膣までが左右に二つあります。二つの子宮はその基部で一部が連結しており、この部分から第三の膣ができています。左右の二つは雄のペニスが挿入され精子の通路となり、真ん中の一つは産道専用です。
余談になりますが、ある男性医師が「膣は入口」と表現したのに対し、ある女性医師が「それは男性目線であり極めて不愉快。私たち女性からすれば膣は出口である」と猛反発したという話を思い出しました。有袋類に関しては膣は一方通行ですから、この点でもめる心配は無いようです。
ヒトのように左右が合体した子宮と膣にならなかったのは、腎臓から膀胱へと連絡している尿管が左右の膣の間を通っているからではないかと考えられます。ヒトをはじめとする有胎盤類では、尿管が生殖管の外側にあるのです。
有袋類はたいへんな早産です。目が未分化であり、顎も頬もなく、肺は単純なのっぺりした袋なので呼吸の大半は皮膚呼吸です。これは胎盤の発達が悪いためだと考えられます。卵生の名残である卵殻膜が胎盤の発達を妨げているため、胎児に充分な栄養を与えられないようなのです。
栄養不足に耐えられなくなり、唯一発達している前足を使って、母親の袋まではい上がり、オッパイを吸おうとするのです。
《つづく》
単孔類(カモノハシ、ハリモグラなど)と有袋類(カンガルー、コアラなど)は、卵生と胎生の間をうめるような、原始的な哺乳類です。
単孔類は哺乳類でありながら卵を産みますが、乳を与えて子どもを育てます。カモノハシは地下にトンネルを掘って巣を作り、ここに卵を産みます。ハリモグラの方は腹に袋があって、この中で卵をかえします。生殖方法は爬虫類と変わりません。
単孔類は、最初の原始哺乳類である原獣類の生き残りと考えられています。原獣類から有袋類と有胎盤類(ヒトを含む)が進化しました。
有袋類の雌の生殖器官は変わっていて、卵巣や卵管はもちろんのこと、子宮と膣までが左右に二つあります。二つの子宮はその基部で一部が連結しており、この部分から第三の膣ができています。左右の二つは雄のペニスが挿入され精子の通路となり、真ん中の一つは産道専用です。
余談になりますが、ある男性医師が「膣は入口」と表現したのに対し、ある女性医師が「それは男性目線であり極めて不愉快。私たち女性からすれば膣は出口である」と猛反発したという話を思い出しました。有袋類に関しては膣は一方通行ですから、この点でもめる心配は無いようです。
ヒトのように左右が合体した子宮と膣にならなかったのは、腎臓から膀胱へと連絡している尿管が左右の膣の間を通っているからではないかと考えられます。ヒトをはじめとする有胎盤類では、尿管が生殖管の外側にあるのです。
有袋類はたいへんな早産です。目が未分化であり、顎も頬もなく、肺は単純なのっぺりした袋なので呼吸の大半は皮膚呼吸です。これは胎盤の発達が悪いためだと考えられます。卵生の名残である卵殻膜が胎盤の発達を妨げているため、胎児に充分な栄養を与えられないようなのです。
栄養不足に耐えられなくなり、唯一発達している前足を使って、母親の袋まではい上がり、オッパイを吸おうとするのです。
《つづく》