【きょうの健康6月号から】
・胆石を持つ人は推定1000万人。以前は中高年女性に多かったが、最近は男女差なしに増加中。
・胆嚢の中で濃縮された胆汁の成分が固まってできると思われる。急激なダイエットや不規則な生活で、食事を抜くと過剰に濃縮されてできやすい。
◆結石の成分による分類
・コレステロール結石:60%を占める。胆汁中のコレステロールが固まった結石。
・黒色結石:30%を占める。胆汁の色素成分ビリルビンが固まった結石。
・ビリルビンカルシウム結石:10%を占める。ビリルビンにカルシウムが結合してできた結石。最近は減少傾向。
◆結石が存在する場所による分類
・胆嚢結石:90%を占める。胆嚢の中。
・総胆管結石:10%を占める。総胆管(胆嚢から十二指腸までの経路)の中。
・肝内胆管:まれ。肝臓の中の胆汁の通り道(胆嚢に至る)。
◆症状
・みぞおちから右肋骨下辺りに起こる激しい痛み(疝痛発作)。食後に起こることが多い。数十分〜2時間程度続く。右背中や肩に放散し、狭心症と間違われることも。
・胆石の詰まった箇所で細菌感染が起こると急性胆嚢炎や急性胆管炎となる。発熱、黄疸、肝機能低下。→抗菌薬や膿を排出させる治療。
・胆石が総胆管の十二指腸への出口に詰まると、胆汁は膵臓に流れ込み急性膵炎が起こることも。→絶食絶飲(点滴にて栄養補給)し、薬物療法。
・鈍痛だったり、痛みを感じない(サイレントストーン)ケースも。大きい胆石が胆嚢の中にとどまっている場合、痛みは起きにくい。
◆検査
・超音波検査:最もよく行われる。90%診断可。
・MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影):MRIで胆管や膵管の中を描く。総胆管結石の発見に効果的。造影剤が不要で患者への負担が少ない。
・CT(コンピュータ断層撮影):肝内結石の発見。胆嚢壁の石灰化(カルシウム沈着)や胆石の石灰化もわかる。
◆治療
・胆嚢結石:胆嚢をまるごと摘出。通常、腹腔鏡下胆嚢摘出術(小さな穴を3〜4か所開けて胆嚢を摘出、3〜4日程度の入院)。腹部手術の経験があり癒着がある場合や、肝硬変がある場合は開腹(10日程度の入院)。
・総胆管結石:内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、総胆管の出口を広げて取り出す。見つかった時点ですぐ行うのが一般的。
・肝内結石:開腹手術。肝臓の一部を切除したり、胆道鏡を使って胆石を摘出。複雑な手術となり、患者への負担も大きい。
・経過観察(摘出手術を受けない)場合:年1回程度の検査。脂肪の取り過ぎに注意し、規則正しい食事をする。
・胆石溶解薬、体外から衝撃波を当てて石を砕く治療もある。体への負担は少ないが、効果が手術ほど確実ではなかったり、再発しやすかったり。

【取穴】
・肝内と胆嚢内に複数の結石がある患者の例:右季肋部,胃兪,胃倉,陽陵泉に著明な圧痛。胃兪―胃倉にパルス10分間、陽陵泉に皮内鍼、右肝点(耳)にも皮内鍼。痛み消失。
・第4〜11胸椎の高さのツボ。下肢では、太敦、太衝、三陰交漏谷地機、曲泉、陽陵泉など。