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「龍樹」(講談社学術文庫版)
「?ナーガールジュナの著作」の「1中論」の「第10章」から「第20章」まで読みました。各章、好きな一文を抜き出します。

第10章.火と薪との考察
12.火は薪に依存してあるのではない。火は薪に依存しないであるのではない。薪は火に依存してあるのではない。薪は火に依存しないであるのではない。

第11章.前後の究極に関する考察
7.輪廻に以前の究極が存在しないというばかりでなく、結果と原因、また特質づけられるものと特質、さらに感受作用と感受主体、およびいかなるものであろうとも、あらゆるものに、以前の〔最初の〕究極は存在しない。

第12章.苦しみの考察
1.苦しみは<自らによって作られたものである>(自作:じさ)、<他によって作られたものである>(他作:たさ)、<両者によって作られたものである>(共作:ぐうさ)、<無因である>(無因作:むいんさ)と、ある人々は〔それぞれ〕主張する。しかるにそ〔の苦しみ〕は結果として成立するというのは正しくない
10.苦しみが〔つくられることについて〕〔上述の〕四種類が認められないばかりでなく、外にある諸事物の〔成立についても、上述の〕四種類は存在しない。

第13章.形成されたものの考察
5.それ(前の状態にあったもの)に<変化するという性質>が無い。また他のもの(のちの他の状態に達したもの)にも<変化するという性質>は適合しない。何となれば、青年は老いることがないから。またすでに老いた者はもはや老いることがないから。

第14章.集合の考察
1.見られる対象と見る作用と見る主体と、これらの三つはおのおの二つずつである(見られる対象と見る作用、見る作用と見る主体、見る主体と見られる対象)。しかし、それらは相互に全面的に集合するには至らない。
2.貪りの汚れと貪り汚れる主体と貪られる汚れた対象もまた、そのように見られるべきである。そのほかのもろもろの煩悩も、またそのほかの12の領域(十二処)も、この3つによって説明される。

第15章.<それ自体>(自性)の考察
4.さらに<それ自体>と<他のものであること>とを離れて、どこにもの(存在するもの)が成立しえようか。何となれば、<それ自体>や<他のものであること>が存在するからこそ、もの(存在するもの)が成立するのである。

第16章.繋縛と解脱との考察
8.要するに、束縛された者は解脱することがない。束縛されていない者も、解脱することはない。もしも束縛された者がいま現に解脱しつつあるのであるならば、束縛と解脱とは同時であるということになるであろう。

第17章.業と果報との考察
33.もろもろの煩悩も、もろもろの業も、もろもろの身体も、また行為主体(業を作る者)も、果報も、すべては蜃気楼のようなかたちのものであり、陽炎(かげろう)や夢に似ている。

第18章.アートマンの考察
5.業と煩悩とが滅びてなくなるから、解脱がある。業と煩悩とは分別思考から起こる。ところでそれらの分別思考は形而上学的論議(戯論)から起こる。しかし戯論は空においては滅びる。

第19章.時の考察
6.もしも、なんらかのものに縁って時間があるのであるならば、そのものが無いのにどうして時間があろうか。しかるに、いかなるものも存在しない。どうして時間があるのであろうか。

第20章.原因と結果との考察
20.もしも原因と結果とが一つであるならば、生ずるもの(能生)と生ぜられるもの(所生)とが一体になってしまうであろう。また原因と結果とが別異であるならば、原因は原因ならざるものと等しくなってしまうであろう。

《つづく》