名作をマンガにした文庫本のシリーズを、水道橋博士がラジオで推薦しているのを聴いて、買ってみることにしました。

くもんのすいせん図書にもなっている「変身」と「罪と罰」。

実は、今流行りのマンガって結構苦手で、「ワンピース」とか、かえって疲れてしまうんですが、これは夢中になって一気に読めました。

最近の子どもは忙しいです。だから、大人同様、じっくり読む本は選びたい。でも、読んで中味が分からなければ選べない…というジレンマがあるわけです。

「意味が分かる年ごろになってから、しっかり読めばいい」という考え方もあるかもしれませんが、それは何歳なのか?世界の名作の凄さが分かる歳って何歳なんでしょうか?ひょっとしたら、一生そのレベルには達しないかもしれません。分からなくてもいいから読んでみよう、という姿勢で臨むしかないのです。

「マンガではダメだ。本物でなければ」という考え方もあるでしょう。でも、世界の名作全集を全部読破することって可能でしょうか?どこぞの文学部を目指すのであれば別ですが、そうでない人が教養として読んでおきたいというときに、難解な長文に取り組まなければいけない必然性ってあるんでしょうか?

児童書の世界の名作シリーズってありますね。同じ「ああ無情」が、なんでこんなにボリュームに差があるんだろうと、子どものころ不思議に思ったことがあります。本物でなければダメなのなら、児童書版を読むのも意味が無いことになります。

そもそも本物でなければならないのなら、日本語で読んでる場合じゃない。英文学は英語で、仏文学はフランス語で、独文学はドイツ語で、ロシア文学はロシア語で読まなければいけないはず。

児童書版を読んで、大人向けと同じものを読んだつもりでいた時期もあったのですが、マンガならばそんなふうに錯覚する恐れもありません。自分のなかで引っかかるものがあれば、いつかは長文に挑戦してみたいと思うはず。そういう名作だけを読めばいい、そんなふうに思います。

「絵がちょっとコワイ」という感想もありましたが、ストーリーの深刻さを伝えるにはこのくらいでいいかもしれません。