NHKの大河ドラマ「徳川家康」で、印象に残っているシーンをまたひとつ思い出しました。今川義元のところに人質になっている家康が、岡崎への帰郷を許された時のことです。でも、あくまでも人質ですから岡崎城への入城は許されません。

 長老格の家臣が、自分の屋敷の倉庫に家康を連れて行きました。そこには、たくさんの軍資金と兵器が隠されていました。「いずれ殿が岡崎の城主となる時が来て、戦をすることになった時の備えです。その時になって、民衆から急に取り立ててれば反発を招きますから」と家臣が説明します。

 そこで家康は、その家臣に尋ねます。「ひとつだけ聴くぞ。これが今川に見つかった時には、爺がその罪をかぶるつもりなのだろう?」それを聞いたこの家臣が目を細めて答えます。「そこまでお察し下さる殿になられましたか」

 この場面を最初に見たのは学生の頃でしたが、こんなふうに褒められてみたいものだと思いました。今振り返ってみて、こういう察しの良さというか、状況を見極める能力が実社会ではとても大切だと思います。しかし、これは学歴には全く関係ありません。そこが世の中の面白いところかもしれません。

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