パンフラワーというのをご存知ですか?小麦粉が主原料の粘土をこねて造った花です。油絵の具で着色するらしいです。私のお客様が趣味で何年と続けていらっしゃいまして、本物と見まごうような、あるいは本物以上に美しい花を飾っていらっしゃいます。

デパートで展示会もやっています。そこに生け花をやっている人が見にきて「これはずっと残るからいいですね。」と言ったそうです。言われてみると、生け花は確かに残らない。ほんの数日間、形を保つことさえ大変です。

建設業の求人CMだったと思いますが、「地図に残る仕事」というコピーを見ました。形として残る仕事・残らない仕事という視点は、ちょっとおもしろいと思いました。

板前さんは残らない仕事ですね。跡形もなく食べていただかないと、本当の評価がなされない。彫刻家は場合によっては何百年と残るかもしれないけれど、氷の彫刻となると数時間〜数日が限度でしょうか。

残る仕事もいいけれど、残らない仕事はその作品が存在する瞬間瞬間に重みがあるような気がします。

さて、私の仕事はどうだろう?お客様の「苦痛」という本人にしか感じ取れないものを取り除く仕事ですから、形が残らないどころか、ひょっとしたら形にすらならない。なんとも得体の知れないものを扱っているんだなあ〜と改めて思った次第です。