トトガノート

「鍼灸治療室.トガシ」と「公文式小林教室」と「その他もろもろ」の情報を載せています。

Tag:専門家

 学生時代のことです。「理論が正しいかどうかを実験で検証するのだ」と工学部の人に話したら、「えっ?それって逆じゃないですか?実験がどれだけうまくいったかを理論と比較するんじゃないですか?」と驚かれたことがありました。

 確かに、学生が実験の演習をしている段階であれば、実験がうまくいったかどうかを評価するには実験結果と理論値の比較をします。この場合は理論が神様(評価の絶対的基準)になります。でも、本来は実験が神様のはずです。現実にマッチしない理論など、どんなに綺麗な数式で表されていても何の意味もありません。

 自然科学でさえそうなのですから、その他の分野においてはなおさらだと思います。理論は頭に入れておくべきですが参考程度とすべきで、現実が全てであり何よりも大切です。

 専門家が子供やお年寄りを理屈にあてはめようとするというのも、こういう本末転倒の一例なのでしょう。

「うろん語」第二巻目次(その1)を見る
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 28ページ付近に、子供と同様にお年寄りも言葉とか論理とか理屈の通じない世界なのに専門家は枠にはめてしまおうとする、という指摘があります。子供とお年寄りだけを理屈の通らない別格の存在とするのは、私はどうかと思うのですが、専門家にはそういう性癖があるということはスゴクうなづけることです。

 論文発表とか資格試験の受験勉強とか、専門家になるためにはまず机の上で頑張らなければいけないわけです。そして何事も、『これは教科書の何ページに書いてある○○に該当する!』的な分析を行い、同じく教科書の何ページに書いてある対策を参考に対処する、ということになります。それを速やかにできる人が、よく勉強しよく訓練している人と評価されるのでしょう。

 でも、そんなマニュアル通りでいいのなら誰も苦労はしません。マニュアルがあるがために、そしてそれをきちんと頭に入れている優秀な専門家であるがために、全てのケースをマニュアルにある項目のどれかに強引に該当させて、不適切な対処をしているということはないのかなぁと私は思います。

 子供とお年寄りには理屈の通じないという三好さんの意見には首を傾げますが(理屈が通じないのは大人も同じだと思います)、子供とお年寄りには強引な対応がしやすいと思います。だから、それが横行しているということをおっしゃりたいのではないかと思います。
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ