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「空海の夢」(春秋社)
「5.言語の一族」を読みました。

空海の血筋については『空海の風景』でも触れてあります。

《以下引用》
…まず、サヘキは奇妙な言葉をつかう服属部族だったということである。…次にサヘキには「連」と「直」があって、一方は中央につき他方は地方に散ったということになっている。…一般に中央から派遣された征服者が地方の部族を征圧する場合、古代では武力についで言語力が重要だった。アーリア人のインド進出にも言語の侵犯がともなっている。とりわけ日本では、その部族の全容をそのまま服属させてしまうには、武力よりも言語力、すなわちコトの力というものが最大の服属関係をもたらした。
…「騒々しくうるさい連中」という意味よりも、「特殊な言語力をもった連中だ」といったニュアンスであったろう。おそらく祝詞や呪詞の記憶力がすぐれていたり、その言葉の秘める力に富んでいたりしたのではなかったろうか。
…一握りのサヘキの指導者はそのまま中央に連れて帰られる。これが「連」である。地方に転属させられる多くのサヘキには各地の直接管理がまかされる。「直」であった。
《引用終わり》

微妙な言い回しをうまく使いこなせるだけで、世渡りはうまくできると思います。まして、当時は方言が乱立していたでしょうから、角が立たないように通訳ができたら、国家の運営には非常に重宝したでしょう。

クレオパトラも美人だったかはともかく、多くの言語を巧みに話せたようで、カエサルもそこに魅了されたのではないかと思われます。

空海が渡唐して、ネイティブ以上の文才を発揮し、密教はおろかその他の文化まで唐で習得し、サンスクリット語まで習っていたらしいことを考えれば、並々ならぬ言語力があったことは間違いありません。それが、サヘキの血だったということでしょうか。

《つづく》