十年ほど前だったと思います。私、交通事故を起こしました。道路を直進中に脇から車が出てきまして、私を発見した相手が驚いて道路の真ん中で停車してしまったので、私の急ブレーキも間に合わずに衝突したのでした。

私の車はポンコツでも一応外車だったので殆ど無傷。それに対して、相手は軽自動車で脇腹に突っ込まれたということもあり、前輪の車軸が曲がりました。辛うじて走行はできるし、人間は全く無事でしたので、警察の方も「この程度で良かった、これから気を付けてね」という対応でした。

こういう場合、保険会社間での過失相殺の比率は予め決まっているらしく、相手が出てきたのは道路ではなかった(ある公共施設の駐車場)ので、私には有利だったようです。相手の若いお姉ちゃんは、当時流行っていた分厚い厚底サンダルで運転していましたが、それは加味されませんでした。

現場検証を終えた警官が、我々当事者二人に
「こういう事故を今後回避するためにはどういう注意が必要だと思いますか?」と尋ねました。
「思い当たりません」と私は答えましたが、
「それではまたこういう事故が起こるかもしれませんよ」と警官は言いました。
「では、衝突しそうな車を発見する前にクラクションを鳴らし、急ブレーキを踏むことでしょうかね?」

でも、このあと私も、このへそ曲りな回答には反省しています。ドライバーが心がけなければいけないのは事故の回避です。法令遵守は2番目なのです。

さて、今回の佐世保の銃乱射事件。佐世保署は、猟銃所持許可に関しては「問題なかった」という回答でした。これに関する法律とか、警察内部での手続きのマニュアルにのっとって許可されていたということなのでしょう。でも、責任逃れの言でしかありませんね。

こういう事件を回避することが至上命題で、マニュアル遵守は2番目だと思います。こんな事件を防げなかったのに、「問題なかった」と言える神経はどうかしている。

一般的には、現場の至上命題を弁えて「自分から仕事を見つけて働く人」と、「言われたこと(マニュアル)しかやらない人」の違いだと思います。人を雇う立場の人から見れば、後者のような従業員は要らないんです。警察署もしかりです。