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「釈尊の生涯」(春秋社)
「2.釈尊前後のインドの時代と環境」を読みました。

・ヴェーダ時代(紀元前1500〜1200年)
アーリア人がインドに侵入し始め、この新しい土地で、一方では自然の脅威と立ち向かい、他方ではドラヴィダ人などの先住民族と衝突していたが、着々と勢力を拡大していった。

・ブラーフマナ時代(紀元前1200〜700年)
アーリアの社会が安定したものになる。アーリア人は、バラモン(純粋な種族。祭事や学問をつかさどる最上位の階級)、クシャトリヤ(異民族との混血種族のうちで、戦いに従事したり、政治を司る武士王族の階級)、ヴァイシュヤ(異民族との混血種族のうちで、牧畜、農業、商工業などにたずさわる庶民の階級)の3つの階級を形成。その下に被征服民族のドラヴィダ族がシュードラ(奴隷階級)として仕えた。

・ウパニシャッド時代(紀元前700年以後)
アーリアの社会は爛熟とともに腐敗堕落するようになった。ガンジス上流地方から東南の中流地域へと繁栄は移り、新天地では政治勢力をもった王族階級が実質的権力を握った。商業貿易も盛んで、豪商財閥も多かったらしい。

祭官であるバラモンは私利私欲に走って、真面目な研学実践や、民衆の精神的指導のような、本来の義務を怠り、民衆からの信頼尊敬と、社会への影響力を次第に失っていった。

そこで、新しい思想が生まれた。神や祭式が人生の運命を決定するという説に対して疑問をいだくようになり、人間の運命はわれわれ自身の心の持ち方や努力のいかんにかかっており、われわれの行為の善悪によって決定されると考えられるようになった。

それはわれわれの自由意志による善悪の業(行為)によって、幸不幸の結果が得られるという善因善果、悪因悪果の因果応報の思想である。

この因果の連鎖は、単に現世のみの間に存在するのでなく、過去から現世へ、現世から未来世へというように三世にわたって不断に存続するとせられた。これが三世にわたる業報説であり、業に従って幸不幸の世界に生まれ代るという輪廻説である。

ウパニシャッド時代には、昔ながらの祭祀バラモンと、業報輪廻説を説き、輪廻からの自我の解脱を考究実践する哲学バラモンとがいた。

・解脱思想
輪廻は永遠に続いて、そのままでは、この輪を断ち切ることはできず、絶対の幸福と安心は得られないから、実は苦悩にみちたものであるという、現状に対する悲観が基調となっている。

この不安な現状を脱して、絶対平安の世界を求めたのが解脱の要求であり、ウパニシャッドでも、自我(アートマン)と精神世界である梵(ブラフマン)とが融合して、梵我一如の理想境に到達した時に、輪廻からの解脱が得られるとした。

《つづく》