【きょうの健康8月号から】
・黄斑は網膜の中心にある、直径1.5mm程度の、視細胞がたくさん集まっている部分。その中心の中心窩は最も視力が出る。
・欧米では中途失明の主な原因。日本でも最近第4位に浮上。中高年の男性に急増。
・症状は、物がゆがんで見える,視野の中央が暗く見える,視野の中心が欠ける。

◆滲出型
・視細胞の新陳代謝で発生する老廃物は網膜色素上皮細胞(視細胞の下)が消化するが、加齢によってこの働きが衰えて老廃物が蓄積すると、脈絡膜(網膜色素上皮細胞の下)の毛細血管から新生血管が生えてくると考えられる。
・毛細血管は脆く、出血やむくみが発生。視細胞が持ち上がり凸凹になり、物が見えにくくなる。放置すると、視細胞が死滅、視野が欠ける。

◆委縮型
・網膜色素上皮細胞が加齢に伴い萎縮し、視細胞が死滅し、視野が欠ける。
・患者数は滲出型の1/3程度。進行も緩やか。

◆検査
・蛍光眼底造影:蛍光色素を含んだ造影剤を静脈注射し、眼底の血管の状態を調べる。新生血管の有無,広がり具合,深さなどを調べる。
・光干渉断層計(OCT):眼底に赤外線を当てて網膜の断面を描き出す検査。黄斑の状態を調べる。

◆治療
・萎縮型は治療法が無い。新生血管の増殖を抑える薬(ラニビズマブ,ペガプタニブ)による治療が欧米では行われている。
・レーザー療法:レーザーで新生血管を焼き切る。出血や滲出液は無くなり、視細胞の障害を抑える。日帰り可。進行は抑えられるが、レーザーが当たった部位の視野は欠ける。新生血管が中心窩に近い場合は不可。
・光線力学療法:新生血管に集中的に取り込まれるベルテポフィンを静脈注射、特殊な波長のレーザーを当てて、薬を活性化させ、新生血管だけを退縮させる。初回治療時のみ2泊3日。退院後3日間は日光を避ける。新生血管が中心窩やその周辺の場合に行う。但し、網膜の機能が残っていること,障害された部分の範囲が小さい,矯正視力が0.1〜0.5あることが条件。障害された視細胞は戻らないが、ゆがみなどの見え方は改善する。

◆予防
・禁煙。喫煙者のリスクは3倍。
・太陽光線を避ける。直接目に入ると発症する可能性が高まる。
・ビタミンA,C,E(にんじん,ブロッコリー,モロヘイヤ),亜鉛(牡蠣),ルテイン(キャベツ,ほうれんそう,ケール)

・ルテインは黄斑に存在する色素のひとつ。