著者の三好春樹さんは理学療法士として、老人介護の仕事に携わって来た方です。日経新聞で紹介されていた記事を読んで興味を持ち、ネットで検索して、この本を買いました。

 老人介護については、自立支援というスタンスが以前から奨励されていまして、私も自分の仕事にその方向性を取り入れられないか模索してきました。介護保険の出費を抑える必要性から、行政の方では更に自立支援に力を入れることが表明されています。そんな中、異を唱える人として記事で紹介されていましたので、興味を持ちました。

 私は、健康保険や介護保険の下に入らないことを自分の仕事の目標にしています。そうすることで、御役所が打ち出した方向性と違う方向で自分の仕事を行い、相補的な役割を担いたいからです。代替医療のひとつと位置づけられる鍼灸は、そうあるべきだと思います。

 また、実際問題、介護保険で行われている介護サービスに、全ての老人が順応できているとは思えません。「介護保険で助かっている人もいるんだろうねぇ?」と、私に問いかけるお客さんは少なくありません。介護予防のための筋トレにしても、「そんなことまでして長生きしたくない。いつ死んでもいいんだけど、病気になれば医者に行くよ。」という考えの方も多いのです。御役所の机上で考えた計画通りには、なかなか行きそうもありません。

 こういった様々な問題の解答を得られるとは思いませんが、多くの示唆を含んだ本だと期待しています。