トトガノート

「鍼灸治療室.トガシ」と「公文式小林教室」と「その他もろもろ」の情報を載せています。

Category:★鍼灸治療室トガシ > 肩関節

〈目的〉:
肩甲上腕関節の不安定性のスクリーニング。

〈方法〉:
患者:背臥位。
術者:肩関節を90°屈曲,内旋位に置く。肘を押さえ、上腕(肩)を検査台の方向(下方)に圧迫する。

〈評価〉:
痛みを訴えたり、「肩が外れる感じ」がすれば陽性(陽性の場合、患者は脱臼を恐れて術者の力に抵抗する)。後方脱臼を疑う。事故直後の触診では、烏口突起の出っ張りが大きく感じられる。

〈メモ〉:
肩甲上腕関節の脱臼は、前方が圧倒的(95〜99%)に多い。

参考文献「整形外科学検査法」
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〈目的〉:
肩甲上腕関節の不安定性のスクリーニング。

〈方法〉:
患者:座位、または立位。腕(肩)を90°外転,外旋。肘は90°屈曲位。
術者:一側の手を肩関節の後ろに当て、他側の手で肘を掴む。肘を固定して、肩を前方にゆっくり押していく。

〈評価〉:
痛みを訴えたり、「肩が外れる感じ」がすれば陽性。習慣的脱臼,過去の脱臼,関節包の損傷などを疑う。脱臼時は三角筋遠位(肩峰のすぐ前方?)に窪みが観察される。

〈メモ〉:
肩甲上腕関節の脱臼は、前方が圧倒的(95〜99%)に多い。脱臼時には、腋窩動脈や腕神経叢の損傷を伴うことが多い。

参考文献「整形外科学検査法」
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【動き】
屈曲(前方挙上):〔可動域〕180°。屈曲60°以上になると、2°屈曲するごとに肩甲骨が1°ずつ上方回旋する。屈曲90°で鎖骨の回旋(胸鎖関節)は前額面に対して30°となり、それ以上の屈曲では減少する。
伸展(後方挙上):〔可動域〕50°。肩甲骨は下方回旋,内転,前傾運動を伴う。
外転(側方挙上):〔可動域〕180°。120°で大結節が肩峰に当たる。90°以上になると上腕骨が外旋して小結節が肩峰に面する。肩甲骨とは肩甲上腕リズムの関係。
内転:〔可動域〕0°。
外旋:〔可動域〕60°。
内旋:〔可動域〕80°。
水平屈曲(水平内転):〔可動域〕135°。
水平伸展(水平外転):〔可動域〕30°。

【筋肉】 
三角筋前部:屈曲● 内旋▲ 水平屈曲●
三角筋中部:外転● 水平伸展●
三角筋後部:伸展● 外旋▲ 水平伸展●
棘上筋:外転●
大胸筋鎖骨部:屈曲● 内転▲ 内旋▲ 水平屈曲● 呼吸▲強制吸息
大胸筋胸腹部:内転● 内旋▲ 水平屈曲● 呼吸▲強制吸息
烏口腕筋:屈曲▲ 内転▲ 水平屈曲●
肩甲下筋:内転▲ 内旋● 水平屈曲●
広背筋:伸展● 内転● 内旋▲ 水平伸展▲
大円筋: 伸展● 内転● 内旋● 水平伸展▲
棘下筋: 外旋● 水平伸展●
小円筋: 外旋● 水平伸展●
上腕二頭筋長頭: 外転▲ 肘関節●屈曲▲回外
上腕二頭筋短頭:屈曲▲ 内転▲ 肘関節●屈曲▲回外
上腕三頭筋長頭:伸展▲ 外転▲ 肘関節●伸展

【靭帯】
・烏口上腕靭帯:力学的に最も重要な働きをする。
・関節上腕靭帯:上・中・下の部分に分かれてZ字状となり、関節前面を強化する。
・烏口肩峰靭帯:
・回旋筋腱板:ローテーターカフ筋(棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋)が副靭帯として働く。

【検査】
不安定性テスト(前方):肩甲上腕関節の不安定性のスクリーニング。
不安定性テスト(後方):肩甲上腕関節の不安定性のスクリーニング。

【その他】
肩甲骨の動き参照。

参考文献1「基礎運動学」
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〈起始〉:
【長頭】肩甲骨の関節下結節
【内側頭】上腕骨の後面で橈骨神経溝より内側尾方の部位,内側上腕筋間中隔【外側頭】上腕骨の後面で橈骨神経溝より外側頭方の部位,外側上腕筋間中隔
〈・〉:三角筋の下(★臑会),上腕筋と隣接(★手五里),腕橈骨筋と隣接(★肘りょう),★青霊★天井★清冷淵★消れき
〈停止〉:尺骨の肘頭

〈作用〉:
肘関節●伸展
・【長頭】肩関節▲伸展▲外転

〈神経支配〉:橈骨神経〔C6〜(C7)〜(C8)〜T1〕

〈筋連結〉:
三角筋上腕筋腕橈骨筋烏口腕筋長橈側手根伸筋小円筋

〈触察〉:
・長頭:肩甲骨の関節下結節から肘頭に向かう筋腹に沿って上腕部の遠位1/5まで辿る。
・内側頭:上腕骨の内側縁で上腕骨頭のすぐ尾方の部位と、上腕骨外側縁の遠位1/3の部位(橈骨神経溝)を結ぶ線を想定。この線と上腕骨の内側上顆,外側上顆,肘頭に囲まれた領域に存在する筋腹。長頭と外側頭の深部に存在し、橈骨神経を挟む。
・外側頭:上腕部の後面中央部で、長頭のすぐ外側方の筋腹。上腕部の遠位1/4まで辿る。

〈関連痛領域〉
・近位は上腕の背面から、肩の背面にかけて。
・遠位は手の背面、薬指および小指まで。
・肘の直上、前腕の掌側まで。

参考文献1「骨格筋の形と触察法」
参考文献2「クリニカルマッサージ」
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〈目的〉:
上腕二頭筋を等尺性伸縮させ、上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎を検査する。

〈方法〉:
・患者:座位。患側の肘関節を90°屈曲位におく。
・術者1:前腕をつかみ、回内させるように力を加える。(患者は抵抗する:回外する)
・術者2:前腕をつかみ、肘関節伸展(+回内)させるように力を加える。(患者は抵抗する:屈曲+回外する)

〈評価〉:
・結節間溝に痛みが出れば陽性。上腕二頭筋腱長頭の腱鞘炎を疑う。
・肩関節の(外転+外旋)で痛むのが上腕二頭筋腱長頭の腱鞘炎、(外転+内旋)で痛むのが棘上筋腱鞘炎と言われる。鑑別には棘上筋衝突テストを行う。
・前腕の回外が保てない場合には、上腕二頭筋遠位部の断裂を疑う。

参考文献「整形外科学検査法」
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〈目的〉:
上腕二頭筋を等尺性伸縮させ、上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎を検査する。

〈方法〉:
・患者:座位。患側の肩関節を90°屈曲(前方に水平挙上)。肘は最大伸展で、前腕は回外(手のひらを上に向ける)。
・術者1:前腕遠位部に対して、下方に力を加える。(患者は抵抗する)
・術者2:結節間溝を触察してもよい。

〈評価〉:
・結節間溝に痛みが出れば陽性。上腕二頭筋腱長頭の腱鞘炎を疑う。
・肩関節の(外転+外旋)で痛むのが上腕二頭筋長頭の腱鞘炎、(外転+内旋)で痛むのが棘上筋腱鞘炎と言われる。鑑別には棘上筋衝突テストを行う。
・前腕の回外が保てない場合には、上腕二頭筋遠位部の断裂を疑う。

〈メモ〉:
・この位置で遠心性収縮を起こさせることで、長頭の腱が結節間溝の中をスライドし(実際には腱に対して上腕骨がスライドする)、腱鞘炎の有無が検査できる。

参考文献「整形外科学検査法」
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〈目的〉:横上腕靭帯(結節間溝を横方向に走る)の断裂,上腕二頭筋長頭腱の脱臼を検査する。

〈方法〉:
患者:座位。
術者1:一側の手で結節間溝と上腕二頭筋長頭腱を触診する。他側の手で手首を掴み、腕を150°外転,外旋させる。
術者2:外旋位にホールドしたまま、腕をゆっくりと下げる。

〈評価〉:
腱の脱臼が触診できたり、「ピシッ、パチッ」という音がすれば陽性。

〈メモ〉:
横上腕靭帯:結節間溝を横方向に走り、上腕二頭筋長頭の腱や腱鞘が溝外に外れるのを防ぐ。

参考文献「整形外科学検査法」
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〈起始〉:【長頭】肩甲骨の関節上結節【短頭】肩甲骨の烏口突起
〈・〉:三角筋の下(★臂臑★肩内陵),腕橈骨筋の下・上腕筋の上(★尺沢),烏口腕筋の上(★天泉),上腕筋の上(★曲沢),★天府★侠白
〈停止〉:橈骨の橈骨粗面,前腕筋膜

〈作用〉:
肘関節●屈曲▲回外
・【長頭】肩関節▲外転
・【短頭】肩関節▲屈曲▲内転

〈神経支配〉:筋皮神経〔C5〜C6〕

〈筋連結〉:
烏口腕筋浅指屈筋円回内筋橈側手根屈筋尺側手根屈筋長掌筋深指屈筋

〈触察〉:
・停止腱:肘窩の中央部に指を置き、内外側方向に動かして、頭尾方向に走行する2本の腱を触察する。外側方の腱が橈骨粗面に終わる停止腱、内側方の腱は上腕二頭筋腱膜。
・短頭:上記の停止腱と烏口突起とを結ぶ線を想定して、触察する。上腕骨中央部より頭方の領域では烏口腕筋と接して走行する(短頭は細くて硬く、前方に位置する)。後方を正中神経や上腕動脈が走行する。
・長頭:上記の停止腱と結節間溝とを結ぶ線を想定して、触察する。長頭と短頭の境は上腕部前面の中央部付近で、上腕二頭筋全体の幅の中点からやや内側方の部位に指を押し込んで触察。

〈検査〉:
アボットサンダーテスト:横上腕靭帯(結節間溝を横方向に走る)の断裂,上腕二頭筋長頭腱の脱臼を検査する。
スピードテストヤーガソンテスト:上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎を検査する。

〈メモ〉:
・腱や腱鞘が機械的なストレスで炎症を起こすと、結節間溝内での腱の滑りが阻害され、痛みを発する。
・上腕二頭筋長頭腱は血管が発達していないため、退行性変化を起こしやすい。

〈関連痛領域〉
・筋肉そのものの領域から肘の内側、三角筋中部、および棘上筋の近位の領域にかけて。

参考文献1「骨格筋の形と触察法」
参考文献2「クリニカルマッサージ」
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〈起始〉:肩甲骨の外側縁付近の後面,棘下筋
〈・〉:★肩貞
〈停止〉:上腕骨の大結節,肩関節包

〈作用〉:肩関節●外旋●水平伸展
〈神経支配〉:腋窩神経〔C5〜C6〕

〈筋連結〉:棘下筋大円筋上腕三頭筋
rotator cuff:棘上筋腱,棘下筋腱,肩甲下筋腱,小円筋腱

〈変異〉:非常に高頻度に棘下筋との癒着が見られる。

〈触察〉:
・溝1:棘下筋大円筋の間の溝。肩甲骨の下角から1〜2横指頭方の部位で、内側尾方から外側頭方に走行する。
・小円筋:溝1に沿って指を上腕骨頭の方向に移動させると、同方向に走る1横指幅の硬い筋腹に触れる。大部分を三角筋に覆われるが、走行方向が異なるので触察できる。

〈関連痛領域〉
・上腕外側の上部。

参考文献1「骨格筋の形と触察法」
参考文献2「クリニカルマッサージ」
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〈起始〉:肩甲骨の棘下窩,棘下筋膜
〈・〉:三角筋の下(★臑兪),★天宗
〈停止〉:上腕骨の大結節の中央部,肩関節包

〈作用〉:肩関節●外旋●水平伸展
〈神経支配〉:肩甲上神経〔(C4)〜C5〜C6〕
〈筋連結〉:棘上筋三角筋小円筋大円筋広背筋
rotator cuff:棘上筋腱,棘下筋腱,肩甲下筋腱,小円筋腱

〈変異〉:非常に高頻度に小円筋との癒着が見られる。

〈触察〉:
・肩甲骨棘下窩:肩甲骨内側縁,外側縁,下角,肩甲棘で囲まれた領域。
・溝1:棘下筋と大円筋の間の溝。肩甲骨の下角から1〜2横指頭方の部位で、内側尾方から外側頭方に走行する。
・棘下筋:肩甲骨棘下窩のうち溝1より頭方の領域から起こり、上腕骨の後方を走行して大結節に終る。
・停止付近:三角筋に覆われるが、走行方向が異なるので触察できる。
・上部:一部が肩峰に覆われるので、肩峰の尾方から指を押し込んで触察。
・下部:単独の硬い筋腹として触知されることが多い。小円筋と誤認しやすい。

〈関連痛領域〉
・肩甲骨の内側縁の上、三角筋中部もしくは後部領域上、腕の下方橈側、示指と中指の2本または示指から薬指の3本まで。

参考文献1「骨格筋の形と触察法」
参考文献2「クリニカルマッサージ」
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