ある施設に入ったお婆さんが認知症になりそうなので、家族が家に連れてきたという話を聞いた。日中は家族が仕事に出てしまって一人きりになるから施設に入れたのだが、施設の人が身の回りの事をして下さるので認知症になってしまいそうだったというのである。

これと全く逆の例もある。

旦那さんがとても優しい人で、何でもやってくれる。奥さんが食べる魚の骨まで取ってあげていたというから驚き。旦那さんは現在95歳だが若い頃からずっとそうだったという。奥さんはそれよりも若いとはいえ85歳。認知症になったので施設に入った。

ところがこの施設の方針は本人に身の回りの事をなるべくさせること。おかげで認知症も良くなってきた。たまに自宅に帰ってくると、旦那さんは今までと同じようにいろんなことをやってあげようとするのだが、奥さんはそれを嫌がるようになった。

私のクライアントには一人暮らしのお年寄りも多い。いずれも近くに娘さんや息子さんの家がある。周囲からは一緒に住むことを勧められるのだが、お年寄りの方が拒み続けている。

子供たちの世話にはなりたくないとおっしゃるのだが、長年のライフスタイルを崩したくないのが本音のようである。身の回りの事をするのは年々大変になるのは事実だが、それを続けたいのである。

その「大変」が認知症の予防になっていることは事実だと思うし、何よりそれが本人が選択した幸せなのだ。