人気の特別展を見に、美術館に行ってきたというクライアント。

「とっても混んでたでしょうね?」と尋ねたら、

「これを持って行ったら、うちの家族は長い行列に並ばなくて良かったし、特別コースを案内されて、エレベーターも使わせてもらったの!」

彼女が「これ」と言って見せてくれたのは、愛用の杖だった。

魔法の杖?と私が訝しげにしていると、

「今は気の利いた施設なら、杖ついてヨロヨロ歩いてるとすぐに車椅子を用意してくれて、特別コースを案内してくれるんだよ。だから旅行行く時は恥ずかしがらずに杖を持っていくことにしたの!家族も一緒に特別コースを通れるから、孫からは『杖忘れないでね』って言われるんだよ(笑)」

何とも良い世の中になったものだ。これなら足が不自由な人も出かけやすいし、家族も誘いやすいだろう。

私の父も歩き方が危なっかしくなってきた。杖をプレゼントしようか…