LS1という乳酸菌を口の中に飼い始めた話を書いた。こんな書き方をすると奇妙に聞こえるが、例えば毎日ヨーグルトを食べているとしたら、自分の腸にその乳酸菌を飼い始めるのと同じだ。乳酸菌はペットみたいなものだ。

腸内フローラという言葉で腸内細菌が注目され、60兆個と言われる「自分」の細胞よりも腸内細菌(100兆とも言われる)の方が多いことを知り、私も驚いた。下痢をしたりして腸内細菌を排除することができるから、主導権は「自分」(人間)の側にあるが、単に頭数で言えばどっちが宿主か分からない状況!人間の方がペットなのかもしれない。

一年前、糖質制限を試して、自分で怖くなるくらい痩せた。終いには寝ケーキをして痩せるのを止めようとしたほどだ。その時に考えた。糖質以外(蛋白質や脂肪)は全然我慢してないからカロリーは体内にたくさん取り込んでいる筈なのに、何で痩せるのか?

いろいろ考えを巡らすうちに、そもそも口から入るということと腸で吸収されるということは違う!という事に気がついた。腸まで辿り着いた食べ物と腸壁の間には、前述のように膨大な数の腸内細菌がいる。総重量は「自分」にはかなわないが、それでも肝臓と同じくらいの重さはあるらしい。立派な臓器である。この巨大なフィルタを通過したものだけが腸壁から吸収されるはずだ。つまり私たちは、腸内細菌の食べ残しや代謝産物(つまり腸内細菌のウンコ)を腸で吸収しているのだ。

だから、ウンコ移植なんてことも出てくるわけである。痩せている人の腸内細菌を太っている人に移植すると、太ってた人が痩せたりすることも有り得るらしい。立派な臓器移植だもんね。

腸内細菌というブラックボックスのインプットとアウトプットの関数関係を解析せずして、栄養学という学問は成立しえないような気がするのだが…。

逆に、「この細菌が腸内フローラの何%以上を占めていればビタミンとか必須アミノ酸の心配は要りません!」みたいなことも有り得るんじゃないだろうか。