「正座が、またできなくなってきたんです。」
このクライアントは、一か月に1回のペースで体のメンテナンスをしている。もう何年ものおつきあい。早速手元のタブレットで、カルテを遡ってみた。関係ある部分だけ抜粋すると…

2017/4/26:正座はできるが、座りはじめると左膝に違和感。歩いていては何ともない。
2017/5/24:正座できない。左膝が痛いので踵がお尻にくっつく所までは曲げられない。しかし、施術直後から痛みが解消し、正座できるようになった。
2017/6/28:前回の施術以来、正座はできている。
2017/7/26:左ふくらはぎは張るが、座ることはできる。
2017/8/23(今回):正座ができなくなった。

今回は、5月24日と同じ程度と思われた。しかし、よく聞いてみると、数日前に整形外科を受診していて、炎症止め(胃の薬も処方されたと言うから、よくある鎮痛剤だろう)を飲んでいる。それで、少し楽になっている。ということは5月24日よりはひどいことになる。

「(整形外科では)軟骨が減っていて、隙間が狭くなってるって言われたんです。私が(レントゲン写真を)見る分にはそんなでもない感じだったんだけど…。」

それから、大腿の外側が緊張しているのでマッサージをして、大腿の内側は鍛えるようにアドバイスを受けたとのこと。そこで、バランスボールを膝で挟む運動を始めた。

「おっしゃるように、膝はそんなに悪くないと思いますよ。皿(膝蓋骨)もスムーズに動きますし。」
「そうそう。皿を動かすと良いんだそうですね。テレビで見ました!」

「はい。でも、上下方向だけですよ。横方向には絶対に動かさないで下さい。外れる時がありますから。」
「えっ!知らなかった。」

膝は膝蓋骨がスライドすることで大きく曲がる構造になっている。しかし、関節の炎症状態が続くとくっついてしまってスライドしなくなる。それで可動域が狭くなり、正座ができなくなる。しかし、このクライアントの場合そこまで悪くはない。

触察すると、確かに大殿筋から腸脛靭帯にかけて緊張している。腓腹筋も硬くなっている。7/26のカルテにも書いているように、座った時に苦しいのは腓腹筋(ふくらはぎ)ではないだろうか。これらの緊張を取ることができれば、膝は楽になるだろう。

「歩き方は一直線上に足を置くように心がけると、大腿の内側の筋肉が自然と鍛えられますよ。モデルさんのような歩き方になりますし。ただ、年齢とともに平衡感覚が衰えてくると、その歩き方ではバランスを取りにくくなってきます。その時は、左右に足を広げた形で歩く歩き方に移行せざるを得なくなります。転倒して骨折でもしたら、元も子もないですからね。」
「あら、私、一本の線の上に足を置く歩き方って、練習したことがあるような気がするわ。」

私も、何だかそんな記憶があるので、カルテを更に遡ってみた。すると…

2015/10/29:仰向けになって左膝を曲げる時、ポキッといった。普段も膝に違和感を感じていると言うので、歩き方について説明。

とあった。

「それは、2年前かもしれませんね。その時、膝の違和感を訴えていらっしゃるので、歩き方の改善で事なきを得たのかもしれませんね。また、頑張りましょう!」

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