このクライアントは、10日1回のペースで体のメンテナンスをしている。もう何年ものおつきあい。
「この前の日曜日、20キロ歩いてたら、途中で足が痛くなって歩けなくなったんですよ。妻に車で迎えに来てもらいました(笑)。一旦落ち着いたんだけど、またさっき、高いところに上がろうとして、やっちゃった。」と言って、左足の腓腹筋(ふくらはぎ)をさすっていたのは8月初めの施術の時だった。

「ウォークラリーに参加されるんでしたね?」

彼は一か月後のウォークラリーの大会に初参加する。日本ウォーキング協会主催のマーチングリーグ公式大会で、9月初めに庄内で開かれる。40、30、20、10キロのコースがあり、彼は初参加ながら40キロに挑戦するとのこと。

「ほとんどマラソンと同じ距離じゃないですか!いくら歩きとは言え…。」初めて聞いた時、私は叫んだ。

マラソン大会は珍しくなくなったが、ウォークラリーの大会が県内で行われているとは知らなかった。参加者は、北海道や鹿児島からも来るらしい。タイムを競ったりはしない。全員が完走ならぬ完歩を目指す。ただ、きりが無いから、早朝出発して16時までにゴールできなければ車に拾われる。

7月初めの施術日に、参加を決めてトレーニング(数キロ以上歩いたり、縄跳び1000回以上)を始めたことは聞いていた。面白いことに(と言ったら不謹慎だが)、このトレーニングを始めた途端、彼のコリのパターンが急に変わった。一番顕著だったのは、ふくらはぎ(腓腹筋)。それまで右ふくらはぎだけが硬かったのにその硬さはなくなり、左ふくらはぎが硬くなった。しかも腓腹筋内側頭だけ。

7月はその後2回施術したが、コロッという硬結は同じ。でも、痛みを訴えることは無かった。

それが、8月になって、トレーニング中に痛み出した。奥さんから迎えに来てもらってからは、トレーニングを休んだ。2日ほどで良くなったのでトレーニングを再開。ところが、ちょうどこの8月最初の施術の直前に、高いところに上がろうとした瞬間、腓腹筋に痛みが走った。

「ちょっと鍼やってみますか?」私は鍼を勧めてみた。
腓腹筋の硬いところに、1番鍼(直径が0.16mm)を6本。

施術後、彼は立って恐る恐る左足に重心を移した。
「どうですか?」と私が尋ねてみると、
「おっ!痛くない。さっきまでこんなふうにできなかったから。」

8月はその後も2回施術を行ったが、トレーニング・メニューを元に戻しても痛みは感じなくなったので鍼は行わなかった。

9月の初め、彼は大会に参加し、見事完歩した。さぞや満足かと思ったら、
「80歳越した人たちがいっぱい参加しててね〜、スイスイ抜いていくんだよ。いや〜まいったね。」

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