酒田の公益文化大学内のホールで、川島隆太先生の講演を聴いてきた。




川島先生と言えば、「ゲームをすると頭が悪くなる」と言いながら「頭がよくなるゲーム」を売り出すという、現代版「矛と盾」の先生というイメージが強かった。が、とても楽しい講演で、私の誤解をも快活に解消にして下さった。

テレビの悪影響については、二つの意味があると思った。

まずひとつは、視聴中は最も高度な機能を持つ前頭前野が眠ってしまうということ。脳細胞の萎縮も確認できているということだから、ハード的にバカになると言える。

もう一つは、最近苫米地先生の話を聴いて確信していたことだったが、テレビの報道に偏向があるということ。嘘の情報は流石に流さないが、メディアやスポンサーの都合の悪い情報は一切流さないので、視聴者はしだいに世の中を歪んだ形で認識してしまう。前項との対照で言うなら、ソフト的にバカになる。

「脳を鍛えるには運動しかない」のレイティ教授の本にあったと思うが、でこぼこ道を転ばずに走るためには足の使い方に関してかなり高度な制御が必要で、そのためにはかなりの脳細胞が活性化する。

そう考えると、不器用では何もできないような昔の遊びが、子どもの頭の成長にいかに良かったかに気づかされる。逆に言えば、ただボタンを押すだけ、画面にタッチするだけで何でもできてしまうゲームがいかに良くないかということになる。

政府主導で教育へのICT導入が叫ばれる中(これは上記のデータを踏まえれば、経済優先の企業論理の押し付けであることが明らかだ、ただ経済活性化も大切ではある、子供のためにはならないだけ)、公文式は頑なに映るほどに慎重な態度を見せている。

紙一枚一枚をめくる。鉛筆を使って書く。鉛筆を自分で削る。…地味だけれども、そこにとっても大切なものが隠れている。それを忘れてはいけない。