一人暮らしのお年寄りは、曜日の感覚が無くなってしまう人が多い。秋葉さんの場合は息子さんと二人暮らしだけれど、息子さんはもう会社を退職しているので曜日に無関係の暮らしをしている。だから、秋葉さんも曜日の感覚が無かった。

曜日の感覚を補うために新聞を取っているというお年寄りは意外と多い。今日が何月何日で何曜日なのか、配達された新聞で確認するのだ。

秋葉さんは新聞のテレビ番組欄を見て放送される番組を確認し、曜日の感覚と共に一日の時間の感覚を保っていたらしい。ところが、息子さんが新聞をやめてしまった。彼は一日の中の時間的な取っ掛かりを失ってしまった。施術中に、彼はそれを嘆いた。

現在、新聞の存在意義は大きく揺らいでいると思う。テレビの番組欄を見るために取っているという人もかつては多かった。しかし、地デジになってからはボタンを押せばテレビに番組表が表示される。

我が家では、私の場合は、スマホでニュースが見られるようになってから、新聞を見る習慣が無くなった。妻は毎日目を通しているが、新聞よりもスーパーの売り出し広告の方が重要なようである。父はおくやみ欄に必ず目を通し、自分よりも若い人が何人死んだかを数え、ため息をつくのが日課である。

久しぶりに我が家の新聞を手に取ってみると、テレビの番組欄だけ別冊になっていて、週に一度折り込まれてくることに気づいた。これが無いと困る人がいるかどうか家族に当たってみたが居なかったので、これを秋葉さんに毎週あげることにした。

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