ある日突然、というかお客様からの電話はいつも突然なので、そういう意味では全然突然ではないのだけれど、秋葉良蔵さん(もちろん仮名)から電話をいただいた。内容は誰かから聴いているらしく、特に何か尋ねるでもなく、ただ日時だけを決めて電話は終わった。

秋葉さんの家は、古い家だった。かやぶき屋根にトタンをかぶせた家。私が子供の頃によく見られた(我が家もかつてはそうだった)。旧街道沿いに前から建っている家なので、見覚えがある。初めて訪れるという感じがしない。

「御免下さい」というと、目の前の戸がサッと開き、元気でいかにも世話好きそうなおばさんが顔を出した。

「私、あなたのお父さんの同級生なんだけど、あなたがこういう仕事してるっていうもんだから紹介したのよ。秋葉さんの奥さんはもう亡くなったんだけど、生前私のお店に手伝いに来てくれていたのね。今日は命日なのよ。お参りさせてもらったから帰るわね。」と早口で説明して、帰って行った。

無口な男二人が残された。隣の仏間からは線香の匂いが漂っていた。

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