二階には布団が敷いてあり、スエさんが寝ていた。枕元にはダイヤル式の黒電話。

その脇には、大きな皿に山菜の天ぷらが山盛りに盛り付けられていた。それを、信市郎さんがつまみながら、一升瓶を置いて酒を飲んでいた。顔は真っ赤で、とても嬉しそうな顔をしていた。いつも、お酒はコップ一杯と厳しく言われていたはずだが、スエさんが寝込んだのをいいことに飲み放題状態になっているらしかった。

「スエさん、スエさん!」と声をかけてみると、目を覚まして話し始めた。

庭木の手入れを植木屋さんにお願いしていたが、それが終わったのでお酒をご馳走していたとのこと。一緒に、信市郎さんもスエさんもお酒を飲んだ。ところが、スエさんは風邪気味で調子が悪かったので、酒が変に効き過ぎて寝込んでしまったらしい。

「大丈夫なのよ…」と言って、また寝てしまった。

大丈夫かもしれないが、信市郎さんが買い置きしているお酒を全部飲みそうで、放っておけなかった。

息子さんの連絡先は茶の間のカレンダーのところに書いてあったが、呼んだところで鎌倉からすぐに来るわけにはいかないだろう。

「近々、ケアマネと打ち合わせをしないといけない」とスエさんが言っていたのを思い出した。ヘルパーさんを断ったとは言っていたが、全ての介護サービスを断ったわけではないだろう。

そのケアマネージャーがいる施設は、すぐ近くにあった。私はそこに行き事情を説明して、後をお願いすることにした。

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